G1でカラ馬1着した母とは違い優等生、ポルトドートウィユ/吉田竜作マル秘週報
◆ポルトドートウィユの高野調教師は興奮気味に「走っているときの雰囲気がいい。まさにうなる感じだよね」
今春のクラシックを早期デビュー組が制圧したことが影響したのか、栗東ではこの時期にもう良血2歳馬の姿を数多く目にするようになった。そんな中からデビュー間近のディープインパクト産駒2頭を紹介したい。
まずは日曜(22日)の阪神芝外1600メートル新馬戦に出走予定のポルトドートウィユ(牡=母ポルトフィーノ・高野)。先週のウッド併せ馬では相手の3歳馬がかかりまくるのとは対照的に、折り合いもスムーズについてじっくりと追走。直線では内からシャープに伸びて突き抜けた。
「予定していた本来の形とは違った追い切りになってしまったけど、結果的に前の馬がちょうどいい目標になった。追い出すと重心がグッと下がるし、道中ためて走っているときの雰囲気がいい。まさにうなる感じだよね」と高野調教師は興奮気味に話す。
母ポルトフィーノは08年のエリザベス女王杯でスタート直後に落馬→“カラ馬で1着”のエピソードがあまりに有名。激しい気性を内に秘めていた馬だった。それだけに、このポルトドートウィユの気性も気になるところだが…。
「いろいろな人に話を聞いて、自分の中で消化したところ、結論は母親ほどではないなと。性格はいいし、稽古を積んでも変わりはない。苦しがるようなところは全く見せない」と同師。どちらかといえば優等生タイプのようだ。
好メンバー揃いと噂されるレースで、どんな走りを見せてくれるのか楽しみで仕方ない。
◆ティルナノーグの松永幹調教師「これなら強い相手に当ててもいいかな」とチラリと期待のほどを口にした
その翌週日曜(29日)の阪神芝外1800メートル新馬戦に出走予定のティルナノーグ(牡=母バイコースタル・松永幹)も先週は評判にたがわぬ動きを披露した。
まずウッドに出てきたのは、併せ馬のパートナーに指名されたコンセギール(牡=父ステイゴールド、母サウスオブスカイ)。しかしティルナノーグがなかなか馬場入りしてこないため、鞍上の大渡助手は何度となく後ろを振り返る事態に。主役登場にはかなりの間があったため、7ハロン地点あたりでの両馬の差は1秒以上はあったろうか。これが松田博キュウ舎なら「先生が煮えくり返ってるな」と内心思いながら見ていたが、記者のそんな心配は全くの杞憂に終わった。
ティルナノーグの鞍上はかつての名手・松永幹(現調教師)。あれだけの差があっても「併せ馬になる」確信があったのだろう。直線入り口でもまだ差はあったものの、軽く合図を送られただけでアッという間に馬体を並べ、抜き去った。それも持ったままで、だ。小柄ながら手先の軽いフットワークは、いかにもディープ産駒といった走り。気が早いかもしれないが、「3年連続でノースヒルズ勢がダービーを勝っちゃうかも」と予感めいたものを感じたほどだ。
「相手が動かなかっただけだって。全体の時計は遅いし、あれくらいは、どんな馬でも走るよ」とは松永幹調教師だが、もちろんこれが本心のはずもない。「乗り味はいいし、お利口でかかるようなところもない。これなら強い相手に当ててもいいかな」と、チラリと期待のほどを口にした。もちろん、パートナーに騎乗していた大渡助手が「アッという間だったよね。それも馬なりでかわされた。あれは走るわ」と大絶賛したのは言うまでもない。
今週、来週の阪神新馬戦は、上質のディープ産駒の切れ味に酔いしれることになりそうだ。
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