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アジアの敗因を陣営に聞く 野獣が猫になってしまった/トレセン発秘話

  • 2014年06月26日(木) 18時00分


◆いつもと違い闘争心が出なかったアジアエクスプレス

 断然人気(単オッズ1.3倍)アジアエクスプレスが12着にごう沈した22日の東京GIIIユニコーンS。2か月ぶりの出走も態勢に不安なしと判断して◎を打ったが、勝負どころで反応が鈍く、直線は追ってサッパリ…。不可解な惨敗に首をかしげる読者は少なくないだろうし、宴会野郎とて敗因を究明せずして今週の競馬に挑む気持ちになれない。週明け24日の美浦取材では、同馬が所属する“北D―2”手塚キュウ舎へと真っ先に足を向けた。

「すみませんでした」

 大仲に入るなり頭を下げたのは、アジアエクスプレスの持ち乗り=田中良太助手だった。「早めに外に出したかったが、うまくさばけなかった」という鞍上・戸崎圭太談から、内枠でもまれて戦意を喪失――。それが当初予見された敗因だったが…。

「競馬ではじけなかったのは、枠のせいでもジョッキーのせいでもありません。恐らく僕たちのミスリードです」

 デビュー戦が5馬身、次走が7馬身。ダート2戦で計12馬身差をつけた怪物に何があったというのか。続く同助手の言葉に耳を傾けた。

「皐月賞(6着)時は追い込んで馬をつくったせいで、競馬場ではギリギリのテンション。競馬もシャカリキに走った印象が強かった。同じような精神状態で競馬をさせては、恐らく先も尻すぼみ。そこで今回はメンコを装着するなど工夫して、馬をなるべくリラックスさせて送り出そうとしたんです。それも当日までうまくいったと信じていたんですが…」

 しかし結果は皮肉だった。これまでは装鞍所で決まってスイッチが入り“野獣化”する同馬が、今回に限ってはパドックでも借りてきた猫のよう。いざ競馬に行っても闘争心は呼び覚まされずそのままゴール…。イメージした“大人の走り”とは逆の現実に言葉を失ったという。

「オマエだって精一杯やったんだ。良かれと思ったことが裏目に出る。確かに、それもまた競馬の一面。大事なのは今回の敗戦を次にどう生かすかだよ。違うか?」

 これは傍らで平塚淳一助手が後輩にかけた言葉だが、当方にすれば他山の石とすべきもの。次走(未定)こそ誤りのないジャッジを下す。それが宴会野郎に課せられた責務と今は肝に銘じたい。
 (美浦の宴会野郎・山村隆司)

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