初来日「エスポジート騎手の初勝利はウチ」/トレセン発秘話
◆爆発するなら今週かも?
先週の日曜(13日)福島はご当地ジョッキーが大活躍する“みちのくデー”だった。主役はご存じ、GIII七夕賞を筆頭に2勝を挙げた二本松出身の田辺裕信。これに石川郡・江田照男が2勝と続き、郡山・伊藤工真が1勝。南相馬出身の木幡初広は函館で騎乗だったから、ご当地騎手だけ狙えば、かなりの高確率でオイシイ馬券(順に5、2、6、4、2番人気)が取れたことになる。
果たして当人たちは“地元開催”をどこまで意識しているのか。気になる問いをぶつけてみたところ「頼まれればどこでも一緒。一生懸命乗るだけ」とは江田照。田辺も「地元で初めて重賞を勝てたのはうれしいけど、特にこだわりはない」と淡々としたもの。実際のところ、住めば都ならぬ“勝てば都”というのが正直な胸の内なのだろう。
一方、勝ち鞍こそ挙げられなかったものの、周囲から上々の評価を集めたのが、先週の福島で来日初騎乗を果たしたマリオ・エスポジートだった。12鞍に騎乗して2着1回3着2回。1番人気馬が一頭もいない状況下、半数の6回は掲示板を確保しており「案外日本向きのスタイル。馬のさばきも上手だね」の声が。“爆発するなら今週”の仮説も立てられそうなムードである。
そんな中、「エスポジートの初勝利はウチの馬じゃないか」と強気のV宣言を放ってみせたのが手塚貴久調教師。しかし、騎乗依頼した馬を聞いて驚いた。それは土曜(19日)福島の新馬戦(芝1800メートル)を予定するアルタイル。その父カネヒキリは言わずと知れた05年&08年の最優秀ダートホース。さらに母トップオブドーラはダート1000メートルで3勝。血統はバリバリの砂型で、当方も初陣はダート戦とばかり思い込んでいたからだ。
その血統背景を突っ込むと「走りや馬体を見たら絶対に芝の中距離向き。追い切りで乗ったエスポジートも“シュッと切れそう”と好感触だったからね。爪も立っているから、もし雨が降っても大丈夫だろう」とトレーナーは自信満々。ご当地と対極にある“完全アウェー”騎手のお手並みを、この馬でとくと拝見しよう。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)