前回は途中で話が脱線したので、改めて高倉稜騎手に「夏の小倉コース」の特徴を聞いていきます。ダート1000m、1700mに向いている馬とは!?
(取材・文/大薮喬介)
小倉のダート1000mは減量騎手が有利?
――まずは、ダートから聞いていきます。全体的に見て、他場との違いはありますか?
高倉 砂の感触は、力のいる感じではないですね。この時期の小倉は突然スコールが降ってきたりするので、とちらかというと脚抜きがいい馬場が多いです。しかも、夕方にザーッと降るイメージですね。
――涼しくなるので、ジョッキーはうれしいんじゃないですか?
高倉 いやぁ、蒸し蒸しするので、僕は逆にドヨーンとしてしまいます(笑)。
――そうですか(笑)。では、最初にダート1000mの印象を聞かせてください。
高倉 小細工なしの競馬が多いと思いますね。距離もそうですが、直線も短いので、やっぱりスタートが肝心です。ただ、ダート1000mに限っては、先行できる馬が狙って出走してくることが多いんですよ。
――つまり、全馬スタートが速い馬が多いと。
高倉 そうです。だから、先行できるとは限らないんです。しかも、気難しい馬が多い。たとえば、砂をかぶったらダメとか。このタイプの場合は外枠のほうがいいですよね。前にいければ一番いいんですけど、スタートの速い馬が多いので、前々で競馬をできるかわからないですから。
――ちなみにですが、高倉騎手は夏の小倉のダート1000mは勝ったことがありません。
高倉 えーッ。いやいや、ありますよ! 1年目か2年目だったか、スニーカーブルースって馬で勝ったのを覚えていますもん。
――それは12月の開催ですね。夏の小倉ではないんです。
高倉 ええ、そっかぁ。夏はないのか…。じゃあ、今年は勝てるように頑張ります!
――ダート1000mは小倉と函館、札幌にしかないのですが、ダート1200mとはやはり違うものなのですか?
高倉 全然、違いますね。ダート1000mの場合はスタートで遅れてしまうと、2、3着はあっても、追い込んで勝つのは難しいです。考える暇がないほど、アッという間に終わってしまいますから。その点、1200mのほうがまだ道中考える余裕がありますね。
――ダート1000は、道中でペースが緩むことはないんですか?
高倉 さすがに最初のコーナーに差しかかると、スピードを落とさないと回りきらないので、ある程度、隊列は決まります。ただ、今年はどうかな。デビューした子たちがガンガン前にいくタイプなので、例年以上にあわただしくなりそうですね。
――減量があると、やはり大きいですか?
高倉 それは大きいですよ。3キロ軽いと、それだけスタートが速くなりますし。夏場なんかとくにですよね。牝馬に乗れば、49キロとか51キロとか、さらに軽い斤量になりますから。
――なるほど。今年の小倉は『ダート1000mでの新人&牝馬』を注目しておきます(笑)。
次にダート1700mですが、この距離はいかがですか?
高倉 スタート地点から最初のコーナーまでが比較的距離があるので、競馬はしやすいですね。コーナーは角度がきついですが、それほど気になりません。展開的には芝の中長距離と同じでスローになりやすいですね。だから、後ろからいく馬がマクってくることもあるので、向正面過ぎから、どういう競馬をするかが勝敗の鍵を握ると思います。
――1700mという距離は、中央場所ではないですよね。中央は1200m、1400m、1800mが主流じゃないですか。夏の1700mは1400mからきた馬と、1800mからきた馬がぶつかるわけですが、どちらが1700mに向いているんですか?
高倉 馬によりますけど、たとえば1800mだと力んでしまって、最後の最後でツメが甘くなる馬は、1700mが向いていると思います。1400mだと前にいけない馬ですかね。
――調べてみると、1700mは降級馬よりも昇級馬のほうが勝率がいいんですよね。夏の小倉はポンポンと連勝する馬が多いような気がしますが、どう思います?
高倉 ああ、確かに連勝する馬が多いような気がしますね。あくまでもイメージですが、クラスが上がっても、ペースがそれほど変わらないからかもしれませんね。
――まったく話は変わりますが、新馬を勝ったノーブルルージュは、フェニックス賞から小倉2歳Sの予定らしいですね。手応えはいかがです?
高倉 初戦は逃げて勝ったので、攻め馬のようなものでしたからね。強い相手と戦って初めて、この馬の強さがわかると思います。もちろん、楽しみにしていますよ!
高倉「強い相手と戦って初めて、この馬の強さがわかると思います。もちろん、楽しみにしていますよ!」
【次回のキシュトーークは!?】
第3回は、芝コースについて聞いていきます。馬場がいいとき、馬場が荒れているときの特徴を高倉騎手が解説してくれます!