今回は芝コースについて、高倉稜騎手に聞いていきます。8月23日に行われる青島特別は、唯一の芝1700m戦。特殊な舞台での好走ポイントとはいったい!?
(取材・文/大薮喬介)
芝1200mは後半になればなるほど外枠が有利
――続いては芝コースについてですが、小倉は開催が後半になればなるほど、内が荒れてきます。やはり、前半とはレースの中身が変わってきますか?
高倉 全然違いますね。数年前に比べて開催は短くなりましたけど、それでも最終週になると、馬場がかなり悪化しています。先生(調教師)からの指示も後半になればなるほど、直線は外に出すようにと、言われることが多くなりますから。ただ、それでもたまに内の馬が粘ってしまうケースもあるんですよね。そこが小倉の難しいところです。
――道中も内を避けて通っているんですか?
高倉 だいたいはそうですね。ただ、いつも内側を避けるわけではなくて、スタートしてすぐに馬群が密集すれば、4コーナーまでは内にいて、直線で外に出す場合もあります。
――逆に短い距離でも前にいく組と後ろからいく組の隊列が大きく離れていることもありますよね。
高倉 馬場が荒れてくると、ジョッキー心理として、馬の走るリズムを大事にしたいと思うので、無理についていかない場合があるんです。
――それは、馬の走る気をなくさないように、ということですか?
高倉 そうですね。馬のリズムが狂ってしまうと、走る馬も走らなくなりますから。
――開催後半の芝1200mの仕掛けどころのポイントなどはありますか?
高倉 道中、無理なく前につけられる馬の場合は、どれだけ追い出しを我慢できるか、でしょうね。後ろからいく馬は、さっきも言った、道中いかに馬のリズムを守るかだと思います。コーナーがきついので、結構バランスを崩す馬は多いんですよ。
――開催後半は、前で粘る馬と追い込んだ馬とが横一線になるシーンをよく見かけますよね。
高倉 確かに接戦になることが多いですよね。
――外を通っても届くようになりますが、コースロスは気になりませんか?
高倉 僕は、なるべくコースロスはしたくないですね。理想は馬場の真ん中あたりから抜け出すかたちです。
――枠の有利不利はありますか?
高倉 開催後半の1200mは、馬場のいいところを通れる外枠のほうが有利かもしれません。とくに2歳馬は、馬場が悪いとすぐにバランスを崩してしまうので、外枠がいいと思いますね。
――ほかの芝コースはどうですか?
高倉 距離が伸びれば伸びるほど、難しいイメージがありますね。
――たとえば、芝2000mですか?
高倉 そうですね。2000mはスタートから最初のコーナーまで距離があるので、誰がハナにいくか探り合いになって、スローになりやすいんです。だから、逃げたい馬は競馬がしやすいはずなんですが、馬場が荒れてくる開催後半は向正面で動く馬もいるので、レースの流れを読むのがすごく難しいです。
――小倉は本当にマクってくる馬が多いですよね。ちなみに、マクリができる馬はというのは、どういう馬なんでしょうか?
高倉 速い脚を使える馬ですね。
――それは切れる脚とは違うんですよね?
高倉 小脚が使えるっていうのかな。コーナーでも外にふくれずに、スピードに乗っていける馬です。ストライドの大きい馬は難しいですね。
――なるほど、参考になりました。話は変わりますが、夏の小倉は芝1800mがあるのに、8月23日に1レース(小倉9R・青島特別)だけ1700m戦が組まれているんです。1800mと1700mに何か違いはあるのでしょうか?
高倉 全然違いますね。どちらもスタート地点がスタンド前なんですが、1700mはスタートしてすぐにコーナーがあるので、内から真ん中の枠に入った馬が有利です。たった100mですが、1800mはそれほど枠の有利不利を感じませんから。
――ペースはいかがですか?
高倉 やっぱり1700mのほうが、いい位置を取りにいくぶん、速くなりますね。
――高倉騎手も1700mは難しいと思いますか?
高倉 勝ってはいないですけど、人気薄で好走したことが何度かあるので、結構好きですよ。
――じゃあ、今年青島特別に騎乗していれば注目ですね。
高倉 乗っているかなぁ(笑)。騎乗馬がいれば、頑張ります!
高倉「(青島特別に)乗っているかなぁ(笑)。騎乗馬がいれば、頑張ります!」
【次回のキシュトーークは?】
最終週の最終レースに組まれている芝2600m戦の攻略ポイント、さらには開催後半のレース中に起きる「ジョッキーあるある」などを高倉稜騎手が披露します!