芙蓉S出走のロジチャリスに妙味十分/トレセン発秘話
◆「完成度で走っているワケじゃない」
先週土曜(20日)の阪神オープン・野路菊S(芝外1800メートル)は、3週前から個人的に楽しみにしていたレース。というのも、札幌2歳Sを14分の1の確率で非当選となった悲運のハービンジャー産駒ジャズファンクが仕切り直しに選んだ舞台だったからだ。
同馬を担当する上村助手は夏の北海道出張で例年快く取材に応じてくれるナイスガイ。加えて同馬に関して「学習能力の高さと背中の良さ」をしきりに強調していたのは、当時に当欄で記した通り。むろん札幌2歳Sでも重い印を打つ決意を固めていただけに、舞台が阪神に替わっても全国区へ羽ばたく走りを期待したものである。ところが…。
結果は7頭立ての6着。新馬戦同様にインから伸びるシーンをイメージした直線は、坂を上がってから失速してしまった。輸送を挟む2週スライドの出走が響いたのか、それとも「まだ体は緩さが残る」(上村助手)現状でヨーイドンの競馬は厳しかったか…。いずれにせよ、このまま終わるようなコンビではないはず。馬券で手痛い打撃を受けた宴会野郎にとっても、次回のリベンジを期待する思いは強い。
さて、今週の日曜(28日)新潟にも、札幌2歳Sを除外になった若駒がスタンバイ。オープン・芙蓉S(芝外1800メートル)に登録のあるロジチャリスだ。こちらは3週スライドの出走となるが「未勝利勝ちの立場から、当初から除外も織り込み済み。仕上げに不安はありません」と今夏の札幌でも仕上げに携わった宮田助手。彼の言葉を聞けば、むしろこちらは“災い転じて…”となる予感がしている。
「まだトモが緩く、スピードに乗るまでに時間がかかる。それだけに新馬戦(2着)も期待半分、不安半分で送り出したんです。それでもアヴニールマルシェ(新潟2歳S2着)とクビ差の接戦でしたからね。まだ途上の段階ですが、大した馬ですよ。エンジンのかかりが遅い分、小回りの札幌より新潟の外回りのほうがむしろ競馬はしやすいはず。何といっても完成度で走っているワケじゃないのが、この馬の魅力です」
国枝厩舎スタッフの力量からすれば、GIII除外を吉とする可能性は大いにあるはずだ。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)