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「無事に帰ってきたい。そのあと結果がついてくれば最高」横山典弘騎手にインタビュー

  • 2014年09月30日(火) 18時00分
競馬の職人

横山典弘騎手



横山典弘騎手「レースだから勝つことは一番だけど『無事に帰ること』も忘れてはいけないと思う」

 いよいよ今週日曜日、10月5日にフランス・ロンシャン競馬場で凱旋門賞(GI・芝2400m)が行われます。盛り上がりを見せているアジア大会の後は凱旋門賞を見なくては・・・秋の夜長にはぴったりの競馬観戦です。

 昨年、一昨年は、2着で悔し涙をのんだオルフェーヴル。日本馬の初制覇目指して今年挑戦するゴールドシップ・ジャスタウェイ・ハープスターの3頭は28日にそれぞれ調整を行いました。

 ゴールドシップ・ジャスタウェイ(須貝きゅう舎)はリヨンの坂路1800mで調整。ラストの4ハロンは15-15までスピードアップ。それを見届けた須貝先生は「リラックスして気分よく走っていた。順調にきている」と報告されていました。

 ハープスターはラモルレイのダートコースを軽めのキャンターで調整。中留助手は「走った後も、落ち着いている」とのコメントが。

 日本馬に日本人騎手の騎乗と楽しみ倍増ですね。

 今週は神戸新聞杯を快勝したワンアンドオンリーとフランスへ出発するゴールドシップの国内最終追い切り(9/17)に典さん(横山典弘騎手)が騎乗するために栗東に来られていましたので両馬の話をたっぷり聞いてみよう! ということで「直撃」しました。

常石 典さんおはようございます。

横山 あーおはよう。昨日は、草津駅で会わなかったな?(笑)

常石 典さん何時ごろこちらへ来られたんですか?それから今日は、栗東へはどの馬に乗りに来られたんですか?

横山 内緒・・・・・(笑)

常石 たぶんあれとあれですか?

横山 そう・・・あれとあれだよ(笑)。今から乗りに行くからな。しっかり見るんだぞー。

 典さんは颯爽と追い切りの為坂路へ。ワンアンドオンリーの追い切りが行われました。(ゴールドシップの追い切りは早朝3時からジャスタウェイと併せ馬を行いました。)

常石 お疲れ様でした。感触はいかがでしたか?

競馬の職人

ワンアンドオンリーと横山典弘騎手



横山 おいおい調教見てなかったんだな・・・?(笑)見た通りだしみんなが感じた通りだよ。無事に夏を越してここまで順調で、無事に追い切りができたことが最高。うれしいです。いつも予定通りに乗れるのがいいね。時計は、平凡だけど出す必要もないしね。持ってる力は、十分あるから本番で出せばいい。持ってるポテンシャルは相当高いねって(橋口)先生と話しています。

 見る側は、あまりわからないと思うけど、しっかり返し馬が出来ると力が出せるんだ。返し馬の時は馬が自由に動けるのでかえって難しいです。

 (返し馬を)きっちりするかしないかで勝負が決まってくる。出た瞬間いきなり走ってしまうケースが多いけどしっかりゴール板まで歩かせることが大事だと思う。返し馬って本当に大事なんだよ。これで馬の力が出せるかどうかがわかって、勝負も決まってくるからね。

 ワンアンドオンリーは、ひと追いごとに、ぐいぐい伸びるからどんどん成長している。楽しみだね。つねちゃん阪神で待ってろよ(笑)。

競馬の職人

ワンアンドオンリーの馬上で笑顔を見せる横山典弘騎手



常石 はいもちろんです。(同席していた橋口)先生、いい動きでしたね。典さんが跨るとオンリーはきゅっ!としまる感じがするんですよ。

橋口 時計は平凡だけどね。ダービーの時もそうだったよ。この馬の良さかな? 体に幅も出てきたしちょっと大人になった感じがするね。走るのが好きだから楽しそうに走っているよ。いつもありがとう、ありがとう。

常石 こちらこそいつもありがとうございます。レースを見に阪神競馬場へ行きます。あ、先生そのキャップいいですね。「オンリー」ですね。

橋口 あーこれか?人気あってすぐになくなってしまったよ。じゃあ今度プレゼントね。

常石 楽しみにしています(やったー!)。

***

 橋口厩舎のキャップはいつも格好いいんですよ。バラ一族のキャップもよかったんですよね(これも取材の楽しみの一つなんですよ)。

 橋口先生は、いつもありがとう、ありがとうと言われます。もちろん典さんにも、朝早くからご苦労さん、ありがとう。と声をかけていました。

 ワンアンドオンリーが勝った神戸新聞杯をみなさんもご覧になりましたか?最後はほれぼれましたね。先頭に立ち、2着馬に併せられ追い越されたけれどそこからもうひと伸び。これがオンリーだ!!、とうなってしまいました。橋口先生、おめでとうございます。菊花賞が楽しみです。その先のキングジョージも視野に入ってきますよね。

***

そして・・・凱旋門賞にかける思いもお聞きしました。

常石 今日の追い切りはどんな感触でしたか?

横山 真っ暗でさぁ何にも見えなかったよ。

常石 早朝3時だったんですね。僕は夢の中でした。

横山 そうだろう、おれも夢の中で乗ってたよ(爆笑)。まー無事に出走できるのが何よりだしうれしいね。いつもTVでしか見たことがない凱旋門賞に騎乗できるなんてとってもいいタイミングでこんなチャンスをもらえるのは運がいいと思うよ。プレッシャーはないね。だっていつもと同じことをするだけだから。

 ダンスでもしろって言われたらプレッシャーだけどね。あ、つねちゃんこれ書くなー(爆笑)。

 後はロンシャン競馬場へ行ってからだな。やっぱり返し馬は、きっちりしたい。この馬は、返し馬の時に今日は、どんな感じで走りたいかがわかるんだ。宝塚記念と札幌記念の時は、指示通りにしっかり動いてくれたのでレース内容も強さを見せつけたいい走りだったよ。

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宝塚記念では強さを見せつけたゴールドシップと横山典弘騎手



 本気を出してくれたら強いレースができるね。返し馬は、パドックで乗ってから馬場にでるまでにシップとしっかりとしたいい関係を作らないといけないので難しいです。

 でも、しっかりシップとの関係を考えて今までの経験をむだにしないで絶好調の関係を作りたいです。

常石 手ごたえを感じますね。

横山 勝つとか負けるとかは、考えてません。その時の流れや条件も重なってくると思うし。

そんなことよりもこれだけの馬、ゴールドシップがこの場に無事に行けることが一番なんだよ。そして横山典弘が手綱を取れることが無駄にならないようにしたい。そして無事に帰ってきたい。それが大事だと思う。そのあと結果がついてくれば最高なんだよな。

常石 典さんの話を聞いていると僕も行きたいですね。毎年そうですが今年は、特に見ごたえありますよね。典さんの荷物持つので同伴させてください(笑)。

横山 その荷物をまとめて持つのか?(爆笑)しっかり仕事して自分のお金で行けるように頑張って!!一生のうち一度は行ってもいいかな。

常石 ぼくは、いま障碍者乗馬にチャレンジしています。

 今度、10月9日から5日間台湾へレースに行きます。しっかり馬と向き合って頑張ってきます。そして障碍者乗馬でフランスへ行けるように頑張ります。

横山 そうだったね。頑張って!!その時は、俺を連れて行ってくれよな(笑)。

 やっぱり馬も俺も無事に帰ってきたいよな。そしたらまた・・・行くことができる。レースだから勝つことは一番だけど「無事に帰ること」も忘れてはいけないと思う。だからあんまり結果を求めないで。どうすればいいか?考えて・・・。

 やっぱり楽しみだよね。俺の仕事をしっかりして楽しんできます。応援してね。しっかり書いたか?はい、次の質問は?

常石 えーっとロンシャンの馬場は、どう思いますか?

横山 北海道の草原で走ってるような感じでしょう。調教も乗るので馬と一緒に確かめます。馬がいないのに俺があーだこーだいってもしょうがないでしょう。馬が走るんだから。自分の脚で確かめないとね。一緒に確かめてキャンターしながらコンタクト取ります。

常石 作戦は?

横山 内緒・・・(爆笑)企業秘密。

常石 ずっと僕のお付き合いをしていただきありがとうございました。典さんの話はとってもよくわかります。どんなことをしてもどんなレースでも基本が大事ってことですね。

フランス→栗東→美浦→阪神競馬場と多忙ですがお気を付けてください。レースを楽しみにしています。そしてしっかり見ます。

横山 そうそう、しっかりレースを見ること。それがつながっていくんですよ。つねちゃんにわかってもらえてうれしいね(笑)。

***

 多忙な典さんなのに貴重な時間、ありがとうございました。

 いつお会いしても気遣いながら話してくれる典さんは、騎乗技術だけではなく、人間としても豊かな方です。ますます典さんファンになりました。長い時間ありがとうございました。

凱旋門賞の健闘を祈ります。皆さんも楽しんでください。競馬がもっと好きになりますよ。馬がもっとかわいくなりますよ。

つねかつこと常石勝義でした。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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