◆主催者側からファンに向けてある程度の説明を
いよいよ本格的な冬となって、特に雪が多い地方の競馬は、シーズン終了まで厳しい季節となる。金沢競馬では荒天のため12月2日(火)の開催が翌3日に延期となり、さらに7日(日)の開催も雪のため翌8日延期。そしてその8日の開催は途中で打ち切りになるなど混乱した。
今の地方競馬はIPATへの期待も大きく、延期になればIPATでの発売がなくなってしまうなど、売上面での影響も少なくない。
特に8日に延期された開催は、すでに雪も降っておらず、不良馬場とはいえコース上にも雪はなく、映像で見ているぶんには普通に競馬が行われているかのようだった。ところが「走路整備に時間が要したため」として第5レースが取止めとなり、第6レースは予定より40分ほど遅れて行われたものの、第7レース以降は「走路状況悪化のため」として取止めとなった。
「走路整備」「走路状況悪化」というだけの発表では状況がよくわからず、実際にどうだったのか気になっていたので、当日騎乗していた騎手に話を聞いたところ、以下のような経緯があったそうだ。
おそらくコース上の雪をなくすために、開催前にも相当にハローで馬場を掻き回していたのだろう(←これは筆者の想像)、さらにレースの途中でハローをかけたところ異常に深いところまで掘り返されてしまい、砂が薄くなってしまう部分があり、それでは危険ということで砂を補充したと。それが、第5レースが取止めになった「走路整備に時間を要したため」ということの経緯。
そして第6レースは行われたのだが、砂を補充した部分の馬場が固まっておらずフワフワした状態で、それ以外の締まった部分とあまりにも馬場の状態が違い、これでは危険ということで、第7レース以降が取止めになった、ということのようだ。実際、第6レースでは4コーナーで今年デビューした中島龍也騎手の馬が、馬場に脚をとられたのか、それともコーナーを回る勢いで滑ったのか、前に転げるようにして落馬している。中島騎手は翌日の開催で普通に騎乗していたので、少なくとも騎手は大事には至らなかったようだが。
なるほど当日のレース映像を見てみると、第4レースはラチ沿いまで水が浮いているような状態だったのが、走路整備をしたあとの第6レースではラチから数メートルの部分だけ水がなくなり、見た目にも砂を入れたような状態がわかる。そしてレースではその部分を避け、全馬がラチからかなり離れたところを通っていた。たしかにこれでは公正な競馬にはならず、取止めもやむなしという状況だ。
「走路整備」「走路状況悪化」というだけの発表では、ファンにとっては何が起きているのかがわからない。すぐにというのは無理でも、日をあらためてでも、こうした経緯は主催者のウェブサイトなどである程度説明する必要があると思うのだが、どうだろう。ファンのためにということ以上に、馬を出走させられなくなった馬主に対してということもある。
それにしてもあらためて思わされるのは、騎手は相当な危険に直面しながら競馬をやっているということ。そうしたことをファンに理解してもらうためにも、特に中途で開催を打ち切るような場合は、もう少し詳細な説明がなされる必要があると思う。