国枝師、タンタアレグリアで2歳牡馬“東西制圧”を狙う/トレセン発秘話
◆ダノンプラチナに優るとも劣らぬ素質
史上初の阪神開催となった21日の朝日杯FSは、ご存じの通りアウェーとなった関東馬が今年も勝って4年連続のV。実はこのうち3頭が記者の“担当キュウ舎”所属馬。残るロゴタイプも世話をするのがなじみの佐々木悟クンだから、宴会野郎には何とも“身近なGI”となった感がある。
というわけで、担当記者らしいことを記すと…近年の朝日杯、優勝馬をPOGドラフト段階で予想するのは極めて難解ということになろうか。ディープ産駒にこの表現は似つかわしくないかもしれないが、今年の優勝馬ダノンプラチナもいわば“法華の太鼓”。当初は線が細く頼りないイメージだったが、実戦を経験するごとに瞬発力に磨きがかかり、あれよあれよで気付けばGI馬に…。故に、15年クラシックへの展望を問われても、その奥深さや成長力は「未知数」と言わざるを得ない。
レース後に主戦・蛯名は「前向きすぎるのが今後の課題」と気になる発言をしていたが、番頭格の佐藤勝美助手に言わせると「レースを使ってもバカに(テンションが高く)ならない。この手の馬は距離が持つ」。果たしてこの先、両者いずれの感覚で路線が確立されていくのか。今後も取材の醍醐味を堪能できるのは間違いない。
さて、春を占うという意味では今週中山のGIIホープフルS(28日=芝内2000メートル)も見逃せない一戦。“西”を制した国枝キュウ舎が“東”に送り出すのはパララサルーの半弟タンタアレグリア。担当記者として、朝日杯優勝馬に劣らぬ陣営の期待値を常々感じてきた一頭だ。
「14キロ増の前走体重が示す通り、マッチョまでいかずとも体は徐々にパンプアップ。でも気持ちはまだ危なくて、良くも悪くもマイペースだね。坂路でも脚を取られると“や〜めた”って感じだから。ただ、気分良く走った時は、ダノンプラチナに優るとも劣らぬ素質を感じる。潜在能力は一級品」と前出・佐藤助手。無限の可能性をアピールする。
小回りの中山でペースを乱されずに走れるかがポイントだが、朝日杯V馬のライバルがいきなり身内から誕生するシーンも十分ありそうな雲行きである。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)