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独特なローテーションにルージュバックの弱点が潜んでいるという説あり。ステイゴールド牝馬も当たりという説あり。

  • 2015年04月09日(木) 12時00分


今年の桜花賞は、ルージュバックをどう扱うかに尽きるような気がする。

抜けた強さだと思えば、ハープスターやブエナビスタみたいに扱えばいいし、強いけれど抜けてはいないと思えば、他の馬から攻めればいい。

はたしてルージュバックは数年に1度現れる牡馬を蹴散らすスーパー牝馬なのだろうか?

資格は十分だ。
きさらぎ賞を1人気で1着している。その事実は重い。

前走の重賞を1人気で1着した馬が、桜花賞でも1人気に支持されたら、超連対する。
この10年で2-2-0-0。
きさらぎ賞は異例だけれど、今年はチューリップ賞を1人気で1着した馬がいない。
となると、ルージュバックの軸でどうしようもないか?

Fレビューを1人気で1着した馬はいる(クイーンズリング)。ただFレビューで1人気で1着しても、桜花賞でも1人気に評価されることはない。少なくともFレビュー過去14年の歴史ではない。

Fレビューも1人気で1着するのは重要だ。しかし、それは馬券圏内で、しかも50:50での有効度合いであって、1着の保証はない。

ふつうに考えると、ルージュバックの軸は鉄板にも思えてくる。でも、あくまでも軸だ。1着が鉄板かはまだわからない。

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今年の桜花賞出走馬は、〇囲み数字を持つ馬がやたらと多い。
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ここで言う〇囲み数字とは、出遅れや出負けの意味を表す位置取り表記のこと。
たとえば、前走16-8-6で、16が〇囲みされていたら、その馬は出遅れ、または出負けしたということだ。
〇囲みにも幅があって、大きな出遅れもあれば、小さな出負けもある。だから正確に把握したかったら、レース映像を見るしかないけれど、ざっくりとその馬の傾向を把握するには十分役立つ。

今年の出走馬には出遅れ、もしくは出負けを何度もしたことのある馬が多い。
以下は、複数回の出遅れ・出負け経験のある馬。
見ればわかるけれど、人気馬に多いことがわかる(人気は予想)。
っていうか、圧巻の多頭数だ!

2人気ココロノアイ  5戦中5戦で〇囲み(以後、略)
3人気クイーンズリング 3戦中2戦
4人気レッツゴードンキ 5戦中2戦
6人気キャットコイン  3戦中3戦
7人気ミッキークイーン 3戦中3戦
8人気クルミナル    3戦中2戦
9人気コンテッサトゥーレ 3戦中3戦
12人気ペルフィカ   5戦中3戦
13人気アースライズ  4戦中2戦
18人気ローデッド   5戦中5戦
19人気トーセンラーク 8戦中2戦

競輪のスタートみたいになるんじゃないか? と思うくらいだ。

上位人気馬で、スタートで〇囲みがないのは予想1人気のルージュバックと予想5人気のアンドリエッテしかいない。

つまり、これだけでルージュバックは安心して買える。買えてしまう。

半分以上の馬に出負けのリスクがあるということはふつうにスタートさえ決めれば、いいポジションが取りやすいということだ。
10頭立てまでしか経験のないルージュバックだけど、半分以上の馬が出負けしてくれたら、スタートだけは少頭数競馬になって、これだけでも有利だろう。

にしても出負けの常連馬が多い。ココロノアイやキャットコインやミッキークイーンやコンテッサトゥーレなんか、全レース〇囲みだ。
それでも勝ち負けして来たから、このステージに立てるわけで、力はあるのだろう。

桜花賞はときどき〇囲み馬が勝ったり、〇囲み馬でワンツーが決まったりするレースでもある。
(去年の1着・2着、4年前の1着2着3着)
阪神が改修されてから、より一層出負けしても間に合うようになったようだ。だから強い馬なら出負けも克服できる。
ただし出負けで勝ち負けした馬は、道中、後方待機で、4角回るまで動かなかった馬ばかりだ。腹をくくって、直線勝負に徹している。出負けして、それを挽回しようと、ポジションをあげて行くような馬には出番はないようにも思える。つまり、出負けしても後方待機競馬のできる馬なら、気にせずに買えるとも言える。

とはいえ、今年はルージュバックがいる。
仮に直線勝負に徹する馬がいたとしても、ルージュバックが好スタートを決めて、中団競馬、もしくは中団より前の位置を取ったら、どうだろう? 間に合うのだろうか? ルージュバックは3戦連続で上がり1位で勝っている。あの脚を阪神コースでも使えるのならば、ここでも楽勝ではないか。

おっと、軸で鉄板と思いきや、頭鉄板か?
でもここのキモは初めての阪神でもルージュバックが今まで通りの脚が使えるか?
そこだ。

そういえば競馬王5月号で、さる競馬事情通の方に、こんなことを聞かれた。

「ルージュバックの過去3戦は、すべて大回り(大箱)競馬の少頭数競馬だけど、はたしてこれは偶然でしょうか? それとも狙ってのものでしょうか?」と。

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ルージュバックはなぜ異例のローテを歩んでいるのか?
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ルージュバック
新馬    新潟外回り 芝1800 9頭立て 1着
百日草   東京    芝2000 10頭立て 1着
きさらぎ賞 京都外回り 芝1800 8頭立て 1着

さる事情通は自分に「偶然か必然か」と聞いてきた。それは自分に答えを求めてのものではない。事情通なりの解釈ができた上で聞いてきたことだ。つまりクイズみたいなものだ。
自分は「ノーザンF系の使い分けではないか。ルージュバックは強いからレベルの高い方に回されたのではないか?」といたってノーマルな返答をしてみた。実際、強かったし、間違っているとも思ってないけれど、事情通の考えとは少し違った。

「こういう使われ方をする馬は、脚元に弱点のある傾向がある」と。
だから「大回りで、少頭数を選んでいるのではないか」と。

たしかに大箱コースを選んで、出走しているようには思える。
例年頭数が少なくなりがちなレースを選んでいるようにも思える。

新馬はともかく、2戦目の百日草特別は、少頭数になりがちなレースだ。
一昨年は16頭立てだったけれど、それが例外で、例年10頭前後だ。しかも去年は距離が2000になった。11月初頭の距離2000。出走頭数は少ないと読めそうだ。

きさらぎ賞も頭数は多くならない。
ここ2年は8頭立て、9頭立てだった。ときどき13頭立て以上のときもあるけれど、頭数は社台系の馬の参戦数でも変わる。この馬はノーザンF系だから、当然出走情報はわかっていただろう。

言われてみれば、大回りコースだけでなく、頭数もなるたけ少ないとこを選んでいるように思えなくもない。しかも十分に間隔を取って使っているようにも思える。
きさらぎ賞出走にしても、遠征競馬の経験を積ませるだけでなく、使ったあとのケア期間も考えて、出走を決めたというコメントもあった。

大回り・少頭数・十分な間隔……狙って使ってきてるようにも思える。

「内枠に入ったらサゲたい」そうだ。内枠で揉み込まれたときが心配だとか。
ルージュバックの異例ローテーションの真偽はともかく、人気馬が内枠に入ったら、疑うというのはまっとうだ。桜花賞は外枠が強いからだ。
現在の阪神コースのレイアウトとは違うけれど、シーザリオは脚を余して負けた。
4枠7番で好スタートを切ったけれど、外から寄られて、ズルズルと後退し、直線で猛然と追い込んだものの脚を余した。
そういうリスクが内枠にはある。
今年のメンバーが出負けオールスターズだとしても、リスクはある。

そういえば、1人気シーザリオの猛追を凌いだのは先行したラインクラフトだった。
1人気ウオッカを凌いだのも先行したダイワスカーレットだった。
シーザリオもウオッカも阪神マイルというよりは、東京2400という馬だった。
ルージュバックにも東京っぽい匂いがある。今の使われ方を見ると、ウオッカみたいにゆくゆくは東京専門ホースになりそうなムードもある。

だとすると、ここはルージュバックよりも前で競馬をする馬にチャンスがあるかもしれない。
だけど、今回のメンバーは出負けオールスターズ!! 不安定な要素もいっぱいだ。
だからもう諦めた。理想の展開を考えても、そのとおりに行く保証がない。
ただルージュバックで絶対かどうかもまだわからない。最終的には枠を見てだけど、内枠に入ったら、取りこぼし指数は上がると受け止めてもいいのではないか?

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桜花賞・注目馬
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ハチャメチャに強いかもしれないルージュバックだけど、今年の牝馬戦線を冷静に振り返ると、ココロノアイとレッツゴードンキを中心に整理した方がまっとうだ。

アルテミスS
ココロノアイ 1着
レッツゴードンキ 2着

阪神JF
ココロノアイ 3着
レッツゴードンキ 2着

チューリップ賞
ココロノアイ 1着
レッツゴードンキ 3着

マイルの牝馬重賞で、安定した成績を残している2頭。
この2頭より、強い馬が現れるか、現れないか。

阪神JFでは現れた。
ショウナンアデラ 1着

桜花賞では現れるか?

その筆頭がルージュバック。そう考えるのが一番落ち着く。

でもルージュバックは内枠だと取りこぼす可能性がある。そんな見立てをしてしまった。
では、
ルージュバック以外に勝ち馬は現れるか?

ココロノアイが先着を許した牝馬は、レッツゴードンキとショウナンアデラ。
ショウナンアデラはディープインパクト産。
レッツゴードンキが先着を許した牝馬は、ココロノアイとショウナンアデラとアンドリエッテ。
ショウナンアデラとアンドリエッテはディープインパクト産。

結局、ディープインパクト産が登場してしまう。
これまた例年通りの桜花賞だ。

桜花賞注目馬
ココロノアイ
レッツゴードンキ
の2頭が揃って馬券圏外に敗れることはないと見立てつつ、
ルージュバックは中〜外枠に入ったら、強そうだなと思いつつ、以下の3頭に注目しておく。

クイーンズリング…Fレビューを1人気で、なおかつ差して勝ったから。
ミッキークイーン…アンドリエッテに2回先着してるから。
キャットコイン…そのミッキークイーンにクイーンCで勝ったから。

みんな出負けの常連ホース。だから枠には十分注目したい。
もちろん5枠より外枠で、7枠あたりが理想だ。

ちなみに、
ココロノアイとキャットコインはどちらもステイゴールド産駒。
ココロノアイは前走460キロ。
キャットコインは前走440キロ。

ココロノアイの460キロでの重賞勝ちは歴代のステイゴールド牝馬の最高馬体重で、キャットコインの440キロでの重賞勝ちは2番目に重い記録。
(中山牝馬Sで2着したアイスフォーリスは470キロだった)

桜花賞→オークス→秋華賞と進むにつれて、馬格が要求されて行く牝馬戦線では、馬体重430キロ以下の馬が多いステイゴールド牝馬の活躍は難しくなって行きがち。
去年、418キロで桜花賞を2着したレッドリヴェールは立派だったが、オークス以後はパッとしない成績に陥ってしまった(オークスで3着したアイスフォーリスは当時458キロだった)。

今年はルージュバックやクイーンズリングやアースライズの桜花賞出走でマンカフェ産の当り年と言われているけれど、実はステイゴールド牝馬の当たり年の可能性もある。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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