小島太厩舎のアナザーダービー 目黒記念祝勝会フィズで乾杯!!/トレセン発秘話
◆5歳にしてようやく本格化
プリンシパルS(9日)の翌週に通称「RB会」なる飲み会を某所で開催した時のこと。開宴間もなく、主役のヨッチャンこと吉田芳行厩務員が席上でポツリとつぶやいた。
「本当ならダービーの前祝いにしたかったけど、俺のもマルのも結果を出せなかった。ちょっと情けないやら、親分に申し訳ないやらでねぇ…」
“俺の”とは青葉賞で10着に終わったストレンジクォーク、“マルの”とは丸目助手が担当するフォワードカフェ(プリンシパルS15着)。親分とは言うまでもなく、御大・小島太調教師である。
「親分はすごいよ。いまだに北海道の牧場を何か所も車を飛ばして回っている。おそらく700キロ近い距離を運転するんじゃないか。68歳であんなことできる人、他にいないね。それだけに…。引退まであと2年、チャンスも限られるから、今年は何とかダービーに馬を送り出そうと。これを合言葉に年明けから丸目とも奮闘を誓い合ってきたんだ。ジョッキー時代から華やかな舞台こそ似合う花形役者だしさ」
ダービーに出走できるのはわずか18頭。7000頭前後の同期の0.3%にも満たない。出走するだけで栄誉なことであり、すべてのホースマンにとっての夢舞台。そんな当たり前のことを、改めて心に刻むヨッチャンの宴席での独白だった。
それでもスンナリ引き下がらないのが、RB(リアル・ビーバップ)たるゆえんか。中間徹ばりの執念で(?)晴れのダービーデーに指揮官を府中に招くのはやっぱりヨッチャンの担当馬。12RのGII目黒記念に出走するダービーフィズである。
「ダービーはダービーでもこっちのダービーかい、とは言わないの(笑い)。オープンには再昇級の形だけど、当時とは心身の成熟度が違う。5歳にしてようやく本格化してきた感じだし、何より今回は54キロのハンデが魅力。これまで条件戦では58キロとか57.5キロを背負わされてきた馬。460キロとガサがあるほうじゃないから、今回は斤量的にかなり違うと思うんだ」
頂上決戦・ダービーは個人的に最も好きなレースだが、今年は“アナザー・ダービー”も大いに楽しみ。悲願の重賞Vなら今度の「RB会」はもちろんフィズで乾杯だ。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)