新馬勝ちプロディガルサンの底知れぬ素質/トレセン発秘話
◆次回こそ圧勝してくれるだろう
先週土曜(20日)の東京競馬場で、朝一番に渡辺薫記者にあいさつするや「おい、コラムで取り上げたプロディガルサンは大丈夫なんだろうな?」とツッコミが入った。
師匠たる大先輩が当欄に目を通してくれているありがたさを感じつつも「負けようがありませんよ。5馬身は、ちぎるんじゃないですか?」と上から目線で当方は返答した。恐らく、そのバチが当たったのだろう。レース終了後に再び「確かに勝ったが、お前、何馬身って言ってたっけ?」と鋭いツッコミが…。
今度は「う〜ん、半馬身かな」と口をモゴモゴさせるのが精一杯。何が起こるか読めない新馬戦。さすが馬匠、その奥深さを知っていると最敬礼した次第である。
ただ、あれがリアルスティールの全弟の本来の姿と認識するファンも少なかろう。スタートから馬は遊びっぱなし。稽古で示す素質の片鱗も、実戦では一度も披露することなくゴールした。いわばポテンシャルの違いだけで押し切ったと言えよう。ディープインパクト同様、金子真人オーナー所有のこちらも、大きな故障がない限り放牧には出さず、引退まで厩舎で調整されることが内定。実戦を経験した次回こそ、当方の宣言通りの圧勝を見せてくれるだろう。
さて変わると言えば、今週函館(土曜・芝1200メートル(牝))でデビュー予定のアッラサルーテも、そんな予感がする一頭。入厩当初に当欄でも紹介したエピセアローム(重賞2勝)の全妹だが、実は美浦で行った2週前追い切りが、まるで冴えなかった。函館入厩後の様子が気になり、先週は現地で稽古をつける平塚淳一助手に電話をかけたところ…。ガラリ一変のニュアンスが受話器越しに伝わってきた。
「いや1週前の追い切りは、びっくりやわ。岩田騎手のオデュッセウス(先週函館で新馬勝ち)と楽に併入ですから。中間に熱発するなどアクシデントもあったけど、馬がやっと苦しい局面を乗り越えたんかな。やっぱりこの馬、走りますわ」
トレーナー自らが「史上最高のラインアップ」と豪語した今年の手塚厩舎2歳軍団。確かに新馬戦は、やってみなければ分からないが、銀河系軍団の“片鱗”が今週は、きっと見られるはずだ。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)