函館2歳S圧勝ブランボヌールに続き中竹厩舎に次から次へ素質馬が!!/吉田竜作マル秘週報
◆白倉助手は賞賛「ひっかかるところがないし、これなら距離は持つと思う。ホント、いい馬やで」
今週から夏の小倉、新潟開催がスタートする。この時期に思わずにはいられないのは距離設定が豊富な新潟に比べて、小倉は…との不満。JRAも“ライブ感”をうたい、競馬場への集客増を狙うのなら、小倉の単調な番組編成をもう少し考えてもらえないものか。“見せる工夫”があれば、もっとファンを引き付けられると思うのだが…。
サラブレッドに置き換えると、外国産馬がバリエーションの少ない番組編成の影響を最も受ける。ひと昔前の外国産馬は「短距離志向」「ダート志向」というキャラクターが多く、芝1200メートル、ダート1000メートルと2種類の新馬戦を混合戦に振り分けておけば問題なかったのだが、NHKマイルCが設立されたのを皮切りに、クラシック競走も順次開放。今では様々なキャラクターの外国産馬が出てきた。
もちろん、小倉にも芝1800メートルというクラシックを意識させる舞台は用意されている。しかし直線の長い新潟と比較してしまうと、レースの流れがあまりに違い過ぎて…。良しあしは別にして、スローで折り合い、長い直線で末脚を爆発させるような現在のクラシックの勝ちパターンを疑似体験できるのはどう見ても新潟。それゆえ、近年は栗東から新潟でデビューを迎える素質馬が増えているのだろう。
函館2歳Sでブランボヌールが圧勝を飾るなど、2歳馬が好調な滑り出しを見せている中竹厩舎もこの新潟に期待の外国産馬を送り込む。以前にも当コラムで触れたルグランフリソン(牡=父Smart Strike、母Leaning Tower)だ。
前回お伝えしたのは入厩間もないころ。ゲート試験を経て、デビューに向けての本格的な調教が始まる中、よくあるのは“現実”を突きつけられて厩舎関係者から少なからず落胆の声が出るケース。しかしルグランフリソンの場合は評価が下がるどころか、さらに上昇した。
「ひっかかるところがないし、これなら距離は持つと思う。ホント、いい馬やで。まだ緩さはあるにせよ、追い切りでもしっかり動きよる。柔らかみもあるし、芝も合うと思う」と白倉助手からは称賛の言葉が続いた。
22日の栗東坂路では4ハロン55.5-12.7秒。そう目立つ調教時計には見えないだろうが、中竹厩舎は坂路開場から約40分遅れで登坂する。それだけタフな馬場となるだけに、非力な2歳馬なら一番きつい最後の1ハロンで失速するところ。それを12秒台でまとめているのが注目点だ。中竹厩舎の馬券的な狙い方にもなるが、この手の馬は初戦から勝負になるし、将来はオープンまで出世するケースが多い。注目の初戦は日曜(8月2日)の新潟芝外1600メートル。鞍上にはM・デムーロを確保。そのレースぶりに注目してほしい。
ちなみに今年の中竹厩舎はちょっと異常事態なのかも…と感じるくらい、次から次へと素質馬がやってくる。先日、ゲート試験をパスしたのがダンスアミーガの半弟ヨカグラ(父ハービンジャー、母ダンスオールナイト)。こちらはデビューこそまだ決まっていないが、「俺が中竹厩舎に来て初めて“大物”と感じた馬かもしれない。ゲートを受かってからもピリピリしてこないし、スタートセンスもある。ブランボヌールたちとはタイプが違うが、これはひょっとするかも」と前出の白倉助手は最大限の賛辞を贈る。ちょっと早い予言となるが、来年のクラシックは中竹厩舎が台風の目になるのでは。