肩ムチバチーン!! サカジロロイヤル一変ある/トレセン発秘話
◆芹沢元騎手は「まあスタートを決めないと話にならんね。あとは外枠。内の悪い馬場と外ではやっぱダッシュが違うもん」
GIIIアイビスSDが施行される新潟芝1000メートルは日本で唯一の直線コース。特殊な舞台設定だけに、ここでしか走らない馬、妙に活躍が目立つ騎手が存在する。
馬なら2010年のアイビスSD制覇を含め、全5勝のうち4勝を挙げたケイティラブあたり。ジョッキーでは村田、西田などが“千直名人”と言われている。基本的には関東圏の競馬だけに、勝ち鞍も関東の騎手が多いのだが、関西でも“陰の名人”と言われたジョッキーは存在した。
かつて橋口弘調教師から「ローカルの武豊」という異名を頂戴した芹沢元騎手(現石橋厩舎の攻め馬専門助手)は、新潟芝直線1000メートルでもハッスルプレーを連発。乗り鞍こそ少なかったが、舞台が創設されて以来、5勝は関西騎手の中でもいまだにトップであり、その勝率11.9%は村田のそれを上回る。しかも、その勝ち鞍のほとんどが人気薄というのだから、まさに“西の千直名人”だった。
「直線1000メートルの勝ち方? スタートを切る前からゲートの中でムチを構えておくんや。で、ゲートが開いたら、肩ムチをバチーンよ。まあスタートを決めないと話にならんね。あとは外枠。内の悪い馬場と外ではやっぱダッシュが違うもん」
ただし、外枠有利は常に当てはまるものではないのかもしれない。昨年のアイビスSDを勝ったセイコーライコウがそうだったように、開幕週の馬場なら真ん中あたりを走ってそのまま突き抜けてくる馬も少なくないし、逆に外ラチ沿いは各馬が殺到するため、ゴチャつく恐れもある。
サカジロロイヤルの韋駄天S(9着)はまさにそのパターンだった。
「外めでレースをしたのが裏目に出た。どんどん前に入られてしまい、力を出し切れなかったからね。スムーズな競馬ができれば、そう差はないはずだよ」(湯窪調教師)
当舞台の準オープンでタイム差なしの2着が2度あるサカジロロイヤル。ともに芝1200メートルでしまいバッタリの競馬をした後の一変で、適性が高いのは間違いない。本来はスタートセンスのいい馬だけに、今度は肩ムチバチーン? で、好スタートを決め、初重賞Vなんてシーンがあるかもしれない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)