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速攻型として期待したいダイワメジャー産駒シンシアズブレス

  • 2015年06月03日(水) 12時00分
アルゴノート(牡 栗東・安田隆行 父ゴールドアリュール、母タイトーク)
 2代母ハイランドトーク はガゼルH(米G1)の勝ち馬。母タイトークは現役時代、北米で26戦2勝と平凡な成績だったが、良血だけあって繁殖牝馬としては成功。アメリカ時代にカナダ最優秀2歳牡馬、カナダ最優秀スプリンターに選ばれたJudiths Wild Rush(父ワイルドラッシュ)を、日本に輸入されてからスタッドジェルラン(父キングカメハメハ/12年平安S-GIII・4着)、アルゴリズム(父アグネスタキオン/14年東京スプリント-JpnIII・3着)を出している。Raise a Native 4×3の効果もあってスピード豊かなパワータイプをコンスタントに出しており、父がゴールドアリュールに替わった本馬は確実性の高いパワー型マイラーとなるだろう。

カフェライジング(牡 栗東・松永幹夫 父マンハッタンカフェ、母カフェララルー)
 母カフェララルーは現役時代に未勝利に終わったものの、繁殖牝馬として優秀で、カフェマーシャル(準OP)、カフェシュプリーム(OP)、カフェリュウジン(準OP)と良駒を連発している。これらの父はすべてマンハッタンカフェ。つまり本馬の全兄にあたる。母方にBlushing Groomを持つマンハッタンカフェ産駒は成功しており、ヒルノダムール、ルージュバック、ヤマニンウイスカー、メイショウクオリア、メイショウレガーロ、ベストメンバー、サンディエゴシチー、ココナッツパンチ、オリエンタルロックなどの活躍馬が出ている。馬体や気性に問題がなければ確実に走ってくるだろう。

ゴールドラッシュ(牡 栗東・池江泰寿 父キングカメハメハ、母ラティール)
 目黒記念(GII)、京都大賞典(GII)など4つの重賞を制しているヒットザターゲットの全弟。ポーカーフェイス(父ブライアンズタイム/準OP)、エテルノ(父サンデーサイレンス/準OP)の半弟でもある。母ラティールは追い込みを武器とし、愛知杯(GIII)2着など重賞で入着を繰り返した。産駒は総じて丈夫な体質に恵まれ、どの子も丈夫に息の長い活躍をするのが特長。全兄ヒットザターゲットは7歳にして重賞を制覇した。ラティールの配合を紐解くと、父方の2代前にあるグリーンシャトーはSwaps≒テューダーペリオッド2×2、母方の2代前にあるニホンピロウイナーはAbernant≒チャイナロック3×2で、いずれもHyperionとSon-in-Lawの組み合わせから成る血を重ねている。これが成長力の源だろう。産駒の平均点は高く、コンスタントに走るので信頼性が高い。ヒットザターゲットと同様の活躍を期待したい。

シンシアズブレス(牝 栗東・池江泰寿 父ダイワメジャー、母クラウンピース)
 リーチザクラウン(10年マイラーズC-GII、09年きさらぎ賞-GIII)とクラウンプリンセス(09年小倉記念-GIII・3着)の4分の3妹。母は「Seattle Slew×Mr.Prospector×Secretariat」とアメリカの名血で固められており、牝系からは多くの名馬が誕生している。“Seattle SlewとMr.Prospectorの組み合わせ”は前向きな気性を伝えてスピードタイプに出やすく、仕上がりも早い――という特長があり、兄リーチザクラウンはまさにこうしたタイプの競走馬だった。本馬は、スピード面ではまず心配ないといえる配合構成で、ダイワメジャー産駒らしい先行押し切りタイプに出る可能性が高い。ダイワメジャーはA.P.Indyと相性が良好で、A.P.Indyは「Seattle Slew×Secretariat」という組み合わせ。「ダイワメジャー×A.P.Indy」の出世頭エクセラントカーヴ(京成杯オータムH)は「A.P.Indy+Mr.Prospector」の母から誕生しているので、本馬とよく似た血統構成。芝向きのマイラー配合としてはなかなかのレベルだ。仕上がりも早いのでPOG向き。

ブラスロック(牡 美浦・萩原清 父ブラックタイド、母バイユーストーム)
 佐賀記念(GIII)を勝ったメテオロロジスト(父Golden Missile)の半弟で、現3勝イントゥザストーム(父ディープインパクト)は父同士が全兄弟なので同血の関係となる。「ディープインパクト×Storm Cat」はキズナ、ラキシス、アユサン、ヒラボクディープ、リアルスティール、エイシンヒカリなど多くの活躍馬が出ているニックス。「ブラックタイド×Storm Cat」は本馬が初めてだが、「ディープ×Storm Cat」よりも少々パワー型に出る形で成功するだろう。芝・ダート兼用のマイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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