レッドリヴェール、カイバの工夫で不安解消「これなら大丈夫」/トレセン発秘話
◆「水が汚れていると食べない」レッドリヴェール
馬券を買う上で頭を悩ませる材料の一つが、当日に発表される馬体重の増減だ。その数字が0に近ければ安心できるが、10キロを超すと不安が心をよぎる。レース終了後、「見なきゃよかった」と嘆いた経験を持つファンも少なくなかろう。
今年の函館でも極端な変動の末に結果を残した馬が何頭かいた。代表例は函館記念を制したダービーフィズ。当日発表こそ「マイナス6キロ」だが、448キロは4走前と比べて18キロ減。滞在競馬でもあり“消し”のサインと読みたいが、管理する小島太調教師は戦前から「今回は絞っていく」と宣言していた。過去に顕著な傾向があろうと、決してそれが万能ではないことを示す結果だろう。
同様のことは先週26日の函館500万を勝ち上がったハナズリベンジにも言える。こちらは当日発表が「プラス10」。1000万で2着した2走前と比べて18キロ増で、494キロは自身の過去最高体重でもあった。それでも担当の今井拓也助手は「こちらに来てから食いがすごく良くなった。骨格から測れば500キロあっていいと個人的に思う。増加は好調の証しと思ってください」とレース前に公言。自信を持って勝負できた一戦だ。
さて、今週札幌にも当日の体重が気になる馬がいる。クイーンSの主役、レッドリヴェールだ。1週前追い切りの翌日となる先週23日、担当の今浪隆利厩務員に数字を聞くと「ビシッとやった後に食いが落ちてしまって…。現時点で436キロ(前走出走時430キロ)や」と渋い顔。2歳女王に輝いた一昨年以降、常に体重が調子のバロメーターとなってきた馬だけに、心配材料だったが…。週をまたぐと今浪さんの表情が一変した。
「ええで。カイバを工夫して、だいぶ戻ったわ。輸送後は食わん馬やけど、これなら大丈夫」
話を聞けば、工夫の仕方は多岐にわたる。通常は2〜3回のカイバづけの回数を増やし、様々な飼料を混ぜることなく個別に与えることで、なるべく好きなものを多く食べさせる。さらに、ニンジンをスライスしたものをふりかけ代わりにエサに乗せ、馬の機嫌を取っているとか。加えて「この馬は必ず水で口をゆすぎながらカイバを食べる。水が汚れていると食べないので、一回の食事で4回は水も替える」と言うから、その苦労のほどが分かる。
体重の増減は偶然とは限らない。時にそれが関係者の努力の証しであると思えば、ファンもパドックを歩く人馬を見る目が、だいぶ変わってくるに違いない。