◆「夏場の招待レースとして改善の余地は残されている」
「頭数が少ないから使いにきてと、JRAから勧誘があったみたい。でも実際はどうでしょうか。わざわざ北海道まで運んできて除外じゃ、シャレにならないですよね…」
週明けの函館競馬場、滞在する某調教助手が不安げに当方に質問をぶつけてきた。出走の誘いを受けたレースとは、来週土曜(29日)の札幌メーン(1600万下、芝2000メートル)。そう、ワールドオールスタージョッキーズ第2戦だ。
このWASJは、昨年まで主に暮れの阪神で開催されていたワールドスーパージョッキーズシリーズを名称変更したもの。秋〜冬シーズンは短期免許で来日する外国人騎手が多く、もともと国際色が強いため、外国人の少ない夏季に施行し、注目度をより上げる意図でリニューアルされた国際騎手招待レースだ。ただ、開催時期変更に伴い、もっとも懸念されたのが頭数確保の問題。とりわけ1600万下は夏季の番組数が少なく、同条件の馬はこれまで夏を休養に充てるケースが多かったからだ。
実際、1回札幌の1600万下・TVh賞(芝1800メートル)は12頭立てとフルゲート割れ。この事態を重く見た施行者が誘致という先手を打つのも当然だったが…。実際に調べてみると、前記レースに出走しそうな同条件馬は、すでに札幌、函館に17頭滞在(フルゲートは14頭)。これを先の某助手に伝えると、思わず「えっ…」と絶句した。
「う〜ん…。確か2年前のダービースタリオンズSも少頭数必至と言われてたけど、フタを開ければ14頭立てだったもの。やはり、いろいろ甘くないということでしょう」
結果、頭数確保は無事クリアされそうだが、一方でWASJに対してはこんな声もある。
「夏場に国際色を出そうという試みだろうけど、従来より外国人騎手は減ったよね(8人から5人)。その分、乗せる側としては、今までより楽しみが減った感じ。本当なら素質馬が集まる(次週の)新潟2歳Sに乗りたかったなんていうジョッキーの声も聞かれるし、夏場の招待レースとして改善の余地は残されていると思う」
多くのファンに世界の名手たちの迫力ある腕比べを見せることに意義があるこのイベント。ローカル開催の穴埋めではなく、より発展的な方向性を今後は期待したい。