◆関係者のモチベーションも上がるはず
19日に行われた川崎のスパーキングサマーCは、人気2頭の見応えある一騎打ちとなった。
逃げたブルーチッパーに、ぴたりと2番手を追走したケイアイレオーネ。3コーナー過ぎで馬体を併せてからは3番手以下が離れ、2頭の追い比べ。3〜4コーナー中間でケイアイレオーネが半馬身ほど前に出る場面があり、直線を向いてもケイアイレオーネのほうが主導権を握っているかに見えた。しかしゴール前、内からぐいっと差し返したのがブルーチッパー。牝馬とは思えない勝負根性で、ハナ差出たところがゴールだった。
それにしても直線半ばからの、真島大輔騎手と的場文男騎手の鬼気迫る追い比べは迫力があった。ぜひともネットの動画などでご覧いただきたい。
勝ったブルーチッパーは、これが中央から大井への転厩初戦。そして2着のケイアイレオーネも中央から大井に移籍しての2戦目。さらに、3着トーセンアドミラル、4着ガンマーバースト、5着トーセンアレス、6着カネトシイナーシャまで、いずれも中央からの転入で、しかもすべてオープン経験馬だった。
こうした中央からの転入馬が地方の重賞を勝ちまくったり、上位を独占したりすることを、あまり快く思わないような地方競馬ファンの意見を耳にすることがある。しかし、ぼくはそうは思わない。適材適所、現役バリバリの中央オープン馬もどんどん地方に転厩してきてほしいと考える。
たしかに生え抜きの地方馬が中央馬を相手にダートグレードを勝つような場面は盛り上がるが、中央から地方に移籍してきたからこその活躍というような場面があれば、関係者のモチベーションも上がるはずだ。
今、南関東では古馬牝馬の層が薄く、中央の一線級に対抗できるような馬がほとんど見当たらない。今年、大井で開催されるJBCへ向けてということを考えると、やや寂しい状況だ。そうしたところで有力馬が転入してくれば、メンバー的にも盛り上がることは間違いない。
そもそもブルーチッパーの大井転入は、JBCを見据えてということのようだ。表彰式後のインタビューで、管理する荒山勝徳調教師は、このあとのローテーションとして、レディスプレリュードからJBCレディスクラシックと話していた。スパーキングサマーCを勝ったからというわけではなく、ニュアンス的には転入する段階から目指すところは決まっていたようだった。
昨年は、1000万平場、1000万特別、準オープン特別と3連勝でJBCレディスクラシックに出走(5着)したブルーチッパーだが、重賞実績がない中央馬がJBCに出走できたことは、ある意味ラッキーだった。しかし地方所属となれば、その実績を考えれば、ほぼ間違いなく出走できる。
かつての交流がほとんどなく主催者ごとに競馬が完結していた時代とは違い、交流が進んだ今では、出走させやすい競馬場、勝てそうなレースを選んで使ってこそ、馬も相応に評価され、ひいては中央・地方関係なく競馬全体が盛り上がることになる。