サウンドトゥルー 前走で予行演習済み/トレセン発秘話
◆「中京は基本的に前が止まらない舞台」
今週から待ったなしのオーラス中山&阪神開催。ついに宴会野郎の季節到来である。最初に断っておくが、この時期に予想の調子が格段にいいということはない。とはいえ、何をもってマイシーズンかと問うのもヤボだろう。師走に勢いを増すものといえば…そう、ずばりアルコールを摂取する頻度。立て続けの忘年会攻勢が待つ12月こそ、現場記者が関係者との絆を深める格好の時期なのである。
ただ、ゆえに頭を悩ます事態が例年勃発する。それはダブルブッキング。世間ではもっぱら週末に行われる忘年会も、トレセンでは追い切りが一段落する水曜が慣例。100近いキュウ舎のそれが重ならないはずもなく、声を掛けてもらって逆にアタフタすることも少なくないのだ。
「ジョッキーもけっこう大変ですよ。ボクの場合は、2キュウ舎をハシゴするか、断ってひとつのキュウ舎に専念するかで迷うくらいですが…。中には同日に3キュウ舎掛け持ちって人もいるくらい。この時期は体調維持にも気を使わないとヤバイです」と打ち明けるのは野球仲間である伴啓太。記者の立場で偉そうにハシゴするわけにはいかないが…体調を気にせず飲める分だけ、こちらはまだありがたいのかもしれない。
さて、今週は手塚貴久キュウ舎にお呼ばれする当方だが、一方で泣く泣く断ったのが、開業以来常に声を掛けてくれる高木登キュウ舎。決して前者を優先したわけでなく、単に約束の後、先という形なのだが、この妙な後ろめたさは週末の応援で埋め合わせたい。
GIチャンピオンズCには上がり馬サウンドトゥルーが満を持して出走する。
「中京は基本的に前が止まらない舞台。しまい勝負のトゥルーにとって流れはポイントですが、今回はそれに加えて位置取りもカギ。武蔵野Sを見ると、ノンコノユメと同じ位置から追い出しては厳しいでしょうから」が指揮官によるチャンピオンズCのレース分析だ。戦法に関してはこれから鞍上・大野にじっくり聞くつもりだが、実は前走が格好の予行演習になったのも確かである。
「JBCクラシック(2着)はコパノリッキーに逃げ切られたが、追い込みにくい馬場で昨年覇者ホッコータルマエを捕らえたのが収穫。向こうは久々で万全でなかったにせよ、こちらの地力強化も見て取れたので」
トレーナーが強調するのは中京と同じく“追い込みにくい馬場”で差した事実。そして、表情は「ノーチャンスではない」と告げている。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)