岩田が土曜日曜も早朝2時半から付きっきりのシュウジ/トレセン発秘話
◆トップジョッキーが土日の早朝にトレセンにわざわざ駆けつけているのだから…
言葉が勝手に独り歩きしてしまうことがある。
「シュウジはロードカナロア級」
鞍上の岩田の発言としてこんな見出しが躍ったのはデイリー杯2歳Sの前だった。あの史上最強スプリンターとも目される歴史的名馬と肩を並べるだけの能力をシュウジが持っていると受け取られかねないが…。実際のところ、この時の岩田発言は能力を比較して言ったものではない。
デイリー杯に向けた1週前追い切りでの抜群の反応に「これだけの加速は久々」と語った岩田。それに対して報道陣が「どの馬以来ですか?」と振ったところ、「(ロード)カナロア以来かな」と返答しただけのこと。
要は加速力がロードカナロアに近いと説明したにすぎない。それが「シュウジはカナロア級の能力の持ち主」とまで“変換”されてしまうのだから、取材記者の一人として、言葉の取り扱いにはくれぐれも慎重にならなければいけないと肝に銘じた次第である。
もっとも、この中間のシュウジに対する岩田のアプローチを見ると、相当な期待を寄せていることだけは間違いない。
「この中間は岩田さんが運動に出る時から付きっきりで調教してくれているんです。しかも競馬開催がある土日にも朝早くからトレセンに来て乗ってくれているんですよ」とは橋口慎調教師。
ちなみに中京開催が行われている土日の栗東トレセンの調教開始時刻は午前3時半。運動からまたがっている岩田は「午前2時半には厩舎に来て馬に騎乗してくれる」。
若手騎手ならいざ知らず、トップジョッキーが土日の早朝にトレセンで調教に乗ること自体がまれなのに、トレセンの始動が超早朝(というより深夜)になるこの時期に、わざわざ駆けつけているのだから…。その熱の入れようは半端ではない。
1週前追い切り(9日)も、普段の坂路ではなく、ウッドでやることを自らが提案して稽古をつけた名手。朝日杯FSで文字通り「付きっきり調教」の成果が出るようなら、これ以上に騎手冥利に尽きることはほかになかろう。
(栗東の坂路野郎・高岡功)