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じつはけっこう波乱含み!?/朝日杯フューチュリティS

  • 2015年12月16日(水) 18時00分

■朝日杯フューチュリティS(G1・阪神芝1600m外)フルゲート18頭/登録19頭


【コース総論】阪神芝1600m外 Aコース使用

※今回は集計対象を「Aコース」に限定しています

・コースの要所!

★1番人気も強いが、7〜12番人気の穴馬も好走率は高め。高配当も狙える。
★枠番による有利・不利はほとんどなし。現在の馬場からは少し内有利か。
★脚質による成績の偏りはないが、人気薄での激走例が多いのは好位勢だ。






 先週に引き続き、今週も阪神芝1600m外でのG1開催。同じ解説を繰り返しても面白味に欠けるので、今回は「Aコース」に限定したデータをお届けする。コース全体の特徴については、先週分の当コラムを参考にしていただきたい。

 このデータで目立っているのが、枠番や脚質による成績差が、いくぶん小さくなっていることだ。とくに顕著なのが枠番別成績で、内外での成績差はほとんど見受けられない。枠番値もマイナス0.1〜プラス0.1の範囲内であり、枠番を気にする必要はなし──といっても過言ではないほどだ。

 また、脚質別成績でも、逃げ馬から追い込み馬まで、まんべんなく馬券絡みしているのが見てとれる。4角5番手以内馬の連対率が16.7%で、4角6〜10番手が同13.6%と、その差はわずか3.1%。信頼度や回収率の高さから一応は前有利といえるが、中団のポジションが取れる馬であれば、脚質を理由に評価を割り引く必要はまったくない。

 人気別では、7〜9番人気と10〜12番人気の強さに注目。これだけ複勝率が高ければ、思いきって狙う価値は十分だ。1番人気も[7-5-3-9]で連対率50.0%、複勝率62.5%と、高信頼度だが、18頭立てにおける平均配当が単勝1301円、馬連7373円、3連複36469円と高めであるのを考えると、振り回し気味の馬券のほうが面白そうである。

【レース総論】朝日杯フューチュリティS(G1) 参考レース

※アーリントンC(過去9年)、朝日杯フューチュリティS(2014年)、ニュージーランドT(2011年)の混成による参考データです。

・レースの要所!

★馬連の平均配当が1万2933円という高さ。人気薄の好走率が高く波乱含み。
★馬番1〜6番の枠番値がプラス0.7と超優秀。複勝率も高くかなりの狙い目。
★末脚のキレよりも、前での粘りが重要。芝マイル戦からのローテが好成績。








 昨年に中山から阪神に移行され、過去のデータが「まったく」アテにならなくなった、朝日杯フューチュリティS。というわけで苦肉の策として、同コース開催のアーリントンCなどをゴチャ混ぜにして「参考データ」を作成した。コレはコレでまったくアテにならないが、過去1年の結果から論ずるよりは、まだナンボかマシと思われる。

 平均配当は、単勝1476円、馬連1万2933円、3連複2万7324円とかなり高め。人気別成績を見ても、人気薄の強さが目立っている。実際に、昨年は2着に14番人気のアルマワイオリが激走しており、1番人気のダノンプラチナが勝ったのに馬連万馬券での決着。今年も、順当決着の可能性は低いと考えたい。

 コースデータとまったく違う結果が出たのが、馬番別データ。内枠である馬番1〜6番が、連対率も複勝率も飛び抜けて高くなっている。少頭数のレースが混じっているので額面通り受け取れない部分はあるのだが、内枠の枠番値プラス0.7、外枠の同マイナス2.3というのは、さすがに無視できない数値。内枠重視のスタンスが正解かもしれない。

 そして脚質面は、圧倒的に前有利。これも少頭数のレースが多く混じっているのでアテにはできないが、末脚のキレ勝負となりやすい牝馬限定戦と違って、高いレベルの持久力が要求されるのは事実である。また、回収率の面から考えても、先行勢重視のスタンスがいいのは間違いなし。「好位からソコソコの脚を使える馬」がベストだ。

 前走距離別でもっとも成績がいいのは、前走でも芝マイル戦を使われていた組。[5-8-6-37]で複勝率33.9%と、その信頼度の高さは抜きんでている。芝1400m組との比較では、明らかにこちらのほうが優位だ。信頼度イマイチも一発があるのが距離短縮組で、前走ダート戦組も3連対と侮れず──とか考え始めるとややこしくなるので、ここは単純に「前走芝マイル組」だけをプラス評価の対象としたい。

【馬場&血統総論】



・現在の馬場
 引き続きAコースでの開催。やや前有利&内有利の状況が続いている印象。

・天候予測
 週末まで降水確率は低いままで、当日も好天に恵まれそう。良馬場前提。

・マンハッタンカフェ産駒◎、ダイワメジャー産駒○

 驚いたのが、登録馬にディープインパクト産駒が1頭もいないこと。今年の芝G1では「初」の出来事で、そのかわりにキンシャサノキセキ産駒とダイワメジャー産駒が大挙登録してきた。来週のホープフルSとの使い分けが行われた結果なのだろうが、下手するとスプリント戦に近い流れになることもありそうな血統勢力図である。

 プラス評価の対象としたのは、マンハッタンカフェ産駒とダイワメジャー産駒のみ。キングカメハメハ産駒の適性が高いコースでないのは、先週も解説した通りである。エアスピネル、リオンディーズのいずれも人気を集めそうだが、過信は禁物。2頭がそろって連を外すケースも、血統データ的には十分考えられる。

 今週もAコースであり、先週までの馬場はやや前有利&内有利の状況。今週になってガラッと変わってくるとも思えず、上がりの時計もそう速くはならない可能性が高い。となれば、やはり注意すべきは「内枠から先行できる人気薄」で、この条件に該当するような馬は積極的に拾っておきたい。

★出走登録馬・総論×各論

 以上、アテにならないデータを元に、無理やり分析を進めてきた今回の総論分析。普段にも増して参考にならない内容で恐縮だが、コースデータ、参考レースデータ、そして血統&馬場などから考えて、阪神芝1600mらしからぬレース展開と結果になるのではないか──というのが、現在の印象だ。

 トップ評価はイモータル。ムーア騎手が騎乗できるのかどうか微妙な情勢だが、それを抜きにしても魅力的なプロフィルの持ち主である。前走、東京芝マイルのサウジアラビアRCで2着に好走したが、前半3Fを36秒3とソコソコのペースで行っているように、速い流れに対する対応力もありそう。血統面などの強みもあり、ここは期待大の一戦といえる。

 二番手評価にシュウジ。距離延長の前走でエアスピネルに完敗している馬で、瞬発力勝負になれば分が悪いのは明らかだ。しかし、もっと厳しい流れになれば、結果は違っていた可能性アリ。スプリント戦に近いような展開となった場合、浮上してくる可能性を秘めている。前走の負けで、思いっきり人気を落としそうなのも歓迎材料だ。

 三番手にエアスピネル。なんだかんだで、この馬がもっとも買いやすく、アテになりそうなのは間違いない。キングカメハメハ×エアメサイアという超良血で、2戦2勝でデイリー杯2歳Sをアッサリ制するのだから、秘めたる能力はかなりのもの。武豊騎手が「JRAの平地G1全制覇」という大記録を達成できるかにも注目が集まる。

 四番手評価は「爆穴」ツーエムレジェンドだ。未勝利を勝ったばかりの1勝馬ながら、速いペースを中団で受けて差し切った力は侮れないもの。こちらも、厳しい流れになったほうが持ち味が生きるタイプである。確実にふたケタ人気だろうが、内枠でも引ければしめたもの。たとえ最低人気でも、筆者は迷わず買う所存である。

 以下は、ボールライトニング、ウインオスカー、ショウナンライズ、シャドウアプローチ、アドマイヤモラールという評価順。人気の一角であるリオンディーズは、絶好調のM.デムーロ&角居厩舎のタッグであろうとも、ここは「消し」で勝負したい。血統なども含めて、過剰人気になるのが確実だからである。あとは枠番とオッズ次第だが、高配当を狙うアグレッシブな姿勢を貫きたい。


■総論×各論・先週の馬券回顧




阪神11レース 阪神ジュベナイルF(G1)
1着 02メジャーエンブレム
2着 13ウインファビラス
3着 11ブランボヌール

「NO.1予想」では◎−☆で馬単的中も、データ分析での馬券はまたしてもハズレ。連対馬がいずれも上がり順位4位以下というのは、外回りになってから「初」の結果でございますよ(歯ぎしり)。前にそう楽な展開とも思えなかったので、アレで踏ん張ったメジャーエンブレムは立派。2歳牝馬は「一強」ですかね、今のところは。

※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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