アルジャンテが新年初の“東の風”を吹かす/トレセン発秘話
◆“瞬間的な上がり馬”がポイント
有馬記念優勝のゴールドアクター、東京大賞典Vのサウンドトゥルーを筆頭に、昨年暮れは関東馬の奮闘が光った。
数年前から「仕事の質は西に勝るとも劣らない」という誇り高き言葉を多くの美浦関係者が口にしていたが、ある意味ようやく、それが実証されてきている。無論、結果が出るのと出ないのとでは取材の面白み、モチベーションも違ってくるだけに、今年は“東の風”が、さらに強化されることを願いたい。
さて、年頭を飾るGIII中山金杯は関西馬ヤマカツエースに屈したが、今週のGIIIフェアリーSは、これまでも不動の“東のとりで”。スプリントからマイル戦に距離変更されて今年で8年目を数えるが、関西馬の勝利はリニューアル元年(09年ジェルミナル)のみ。以降6年は、すべて関東馬が制するオハコの舞台になっている。
とはいえ、その半数は2桁人気馬によるV。ぶっちゃければ、狙って使う重賞ではなく、勢い任せの牝馬限定バトル。すなわち“瞬間的な上がり馬”を探すことが予想のポイントになっている。
「前走(未勝利=東京芝1400メートル)は時計(1分22秒2)も含めて強い勝ち方だったと思いますよ」と、尾関知人調教師が語るアルジャンテも“有資格馬”の一頭。その前走は18頭立ての大外枠。結果的に終始外を回る競馬を強いられたが、直線でも余力十分。ラスト2ハロンから追い出されると、しっかり伸びて1馬身3/4差の完勝を飾った。
「2回続けて競馬を使ったので、少し楽をさせてから順調に乗り込んだ。少しずつトモもしっかりしてきたし、ゲートの出も一戦ごとに良くはなってきましたからね。あとは、どのタイミングで普通にスタートを切れるかというところ」。指揮官のこの言葉から、伸びシロは十分に見込めるはず。さらに付け加えれば「もともと東京千四と中山マイルは同じ(適性)イメージを持っている」というのが、1ハロンの距離延長に対する“千四名人”たる師の返答だ。
中山初日は6頭使いで未勝利と、開幕ダッシュを決められなかった尾関キュウ舎だが、厳しい抽選(フルゲート16頭に登録26頭)をクリアすれば流れも変わる。今年最初の“東の風”になるシーンがあっていい。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)