スマートフォン版へ

中舘師のヒントから考察 ノンステッキ馬券さっそく今週2頭/トレセン発秘話

  • 2016年01月21日(木) 18時00分


◆実際は着差以上の完勝

 年明け11日のGIIIフェアリーS(ビービーバーレル)で、開業2年目にして重賞初制覇を遂げた中舘英二調教師。それはまさに現役ジョッキー時代をほうふつさせる鮮やかな逃走劇であったが、翌週の美浦ではさらに興味深い話でそのメモリアルVを振り返った。

「見ているオレにすれば、いつ差されるかと直線ヒヤヒヤだったけどね。上がってきたジョッキー(石橋)は“いや、結構余裕がありましたよ”と涼しい顔。そこで冷静になってパトロールビデオを見て“なるほどね”と思ったんだ」

 2着ダイワドレッサーとは1馬身3/4差。しかし実際はその着差以上の完勝だった、というのが陣営の見解だ。果たしてその根拠は?指揮官が独特の視点でさっそく解説してくれた。

「オレもジョッキーをやっていたから分かるんだけどさ。馬が苦しくなると乗り役は着差にかかわらずステッキを2、3発入れたくなる。それが騎手心理ってもんなんだ。ただ、あのレースで(石橋)シュウはゴールまでそんなアクションは見せなかった。なるほどメイチじゃなかったなと、その時に気付かされた」

 レース後、取材に検量室へ下りると、まれに騎手が「ノンステッキ、ノンステッキ!」と自慢げに報告する場面に遭遇することがある。今までは漠然と“余裕があったのか”と想像していたのだが、実際の言葉の重みはそれ以上。「とても負ける気がしなかった」という含みが、そこに隠されていることを初めて知った次第だ。ならばゴール前の騎手のアクションを馬の強さの尺度にする――そんな馬券作戦も時には有効なのかもしれない。

 そこで今週は特別登録の2頭に注目してみた。一頭は土曜(23日)の3歳500万下・若竹賞(中山芝内1800メートル)と、3歳オープン・若駒S(京都芝内2000メートル)にダブル登録のロワアブソリュー。新馬戦はラスト1ハロン標識で気を抜かせないためにステッキが入ったが、その後はノーアクション。スローながらも展開利と言わせぬ脚力をゴール前で示した。

 もう一頭は9日中山の古馬500万下を4馬身差で完勝したエメラルエナジー。こちらはまさしくノンステッキの逃げ切り勝ち。昇級初戦(日曜・初茜賞=中山ダ1800メートル)もハンデ戦なら互角以上にやれるはず。ノンアルコールはうまくも何ともないが、ノンステッキは美味であることを証明していただこう。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

2010年に創刊50周年を迎えた夕刊紙。競馬確定面「競馬トウスポ」(大阪スポーツは「競馬大スポ」、中京スポーツは「競馬中京スポ」)は便利な抜き取り16ページで、中身は東スポグループだからこその超充実ぶり。開催3場の全36レース(2場開催の場合は全24レース)の馬柱を完全掲載しています。

関東・舘林勲、大阪・松浪大樹の本紙予想のほか、記者による好評コラム(「一撃・山河浩、馬匠・渡辺薫など)、そして井崎脩五郎、爆笑問題の田中裕二、IK血統研など超豪華執筆陣の記事も読みごたえたっぷり。馬券作戦に役立つ情報が満載です。

関連サイト:競馬トウスポWeb

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング