◆「坂路が変わった影響は少なからずあるだろうね」
“宴会野郎"山村先輩が都合により短期放牧(?)に出たため、今週は飲んだくれ記者が2年ぶり2度目のピンチヒッターを務める。
当初は得意の美浦の「飲み友」情報でさらりといこうかと思っていたが、フェブラリーSのメンバーを見て気が変わった。どうも例年とは様相が異なるからだ。
本来、当方はこのレースが好きではない。理由は簡単で、関東馬が勝てないから(最後の優勝は1998年のグルメフロンティア)。というか、そもそも出走頭数自体が少ないのだ。過去5年で出走した関東馬はたったの8頭。16頭×5年=80頭分の8頭ではさすがに厳しい。そして取材記者という職業柄、やはり自分で直接話を聞いた馬が出ていないレースは寂しいものがある。
が、今年は関東馬が何と6頭も参戦予定。これは2003年以来、実に13年ぶりのこと。加えて質も高く各馬の重賞タイトルの合計は9(うちGIは3)に及ぶ。これは一体、どういうことか。
「坂路が変わった影響は少なからずあるだろうね」と分析したのは大将格ノンコノユメを送り出す加藤征弘調教師(50)。「もちろん各キュウ舎の努力も大きいのだろうけど、坂路効果で以前より地力がアップしているのは間違いない。ウチに限らず、うまく活用しているキュウ舎はいい結果が出ているんじゃないかな」。一昨年の春ごろから重くタフとなり、以前より時計を要するようになった美浦の坂路を関東馬躍進の要因に挙げた。
続けて高木登調教師(50)のもとへ話を聞きに行った。今週予定のホワイトフーガのほか、昨年の東京大賞典を制したサウンドトゥルーも抱える関東ダート界のキーマンに同じ疑問をぶつけると、「やっぱり坂路かなぁ。ウチの調教は坂路主体なんですが、馬場が変わってから成績が良くなった実感はありますから」。くしくも加藤征師と同じ答えが返ってきた。
近年健闘を続けているクラシックや芝戦線と違い、関西勢にやられっぱなしのダート戦線だったが、ここにきてようやく反撃の糸口が見つかった。これは毎週美浦で飲み歩いて…もとい取材をしている身としても喜ばしい流れで、仕事にもがぜん、精が出ようというものだ。
てなわけで今のところ馬券の中心に考えているのはこの2頭。ノンコノユメは「内を突いた前走チャンピオンズC(2着)は周りに気を使って本来ほどギアが上がらず。その点、今回は伸び伸び走れる東京。今の馬場コンディションも追い込み馬にとっては最高だと思う」、ホワイトフーガも「終始かかり気味だったことを思えば、前走(TCK女王盃1着)は着差以上の評価が可能。折り合いのつけやすいマイルは合うはずだし、馬混みを割って伸びてサンビスタに5馬身差をつけたJBCレディスクラシック(1着)のような競馬ができれば」と感触がいい。首尾よく儲けて、関東ダート界の新たな門出に祝杯を挙げることができれば最高だ。
(美浦の飲んだくれ記者・藤井真俊)