(撮影:武田明彦)
最後の100mくらいは流すような感じでのゴールだったダノンレジェンド
今年もダート短距離路線の主役はこの馬ではないか、ということをダノンレジェンドが示したレースだった。
スタート直後に気合を入れて前に行こうとする馬が何頭かいたものの、岩手のラブバレットが先頭に立って、ダノンレジェンドがぴたりと2番手につけて隊列が決まると、すぐに流れが落ち着いた。前半の800m通過49秒0は平均的なもの。湿った馬場を考えると、中央勢にとってはややスローな流れだったかもしれない。1〜2コーナーを8番手でまわったドリームバレンチノの岩田騎手が向正面で一気にまくっていったのは、その落ち着いたペースゆえだったのだろう。
ラブバレットが3コーナー手前から後退すると、先頭に立っていたダノンレジェンドにドリームバレンチノが一気にならびかけた。しかしダノンレジェンドのデムーロ騎手はまったく落ち着いたもの。ドリームバレンチノを前にさえ出さなければという走りで、手ごたえはまだまだ楽だった。直線に向いて迫ってきた相手はニシケンモノノフに変わったが、ダノンレジェンドはそれもまったく相手にせず、着差は1馬身だったが、最後の100mくらいは流すような感じでのゴールだった。
ダノンレジェンドは、はじめて背負った58kgもまったく問題にせず完勝。おそらく今年も昨年と同じようなローテーションでJBCスプリントを目指すことになるのだろう。引き続き、出遅れや内枠で馬群に包まれたときの不安は残るものの、昨年惜しくも逃したダート短距離の頂点へ視界は良好といえそうだ。
ニシケンモノノフは、地方のダートグレードに登録しても何度か除外となっていたようだが、前走のすばるSで古馬オープン2勝目となって、この重賞2着賞金を加算したことで、今後は地方のダートグレードに出走しやすくなるだろう。
タールタンは自分のレースをして、前2頭の上り3Fが38秒0のところ、この馬も38秒3で上がっている。しかし3コーナー手前からの勝負どころで追走に一杯で離されてしまったぶんの3着。8歳という年齢もあって、この馬の限界だろうか。
向正面で勝負に行ったドリームバレンチノだが、さすがに最後は59キロが堪えた。何度も書いているが、ダート短距離路線でJpnIを勝ってしまうと、その後に背負わされ続ける重量は厳しい。明けて9歳。2014年のJBCスプリントを制して以降、2着は3回あるものの勝ち星はなく、今後も現役を続けるのであれば、南関東あたりに移籍して、それほど斤量を背負わない地方重賞を使うという手もあると思うのだが、どうだろう。
期待した岩手のラブバレットは7着。さすがにJpnIIIでもここは相手が強かった。スタートから果敢に勝負に行っての結果だけに仕方ない。もう少し軽い相手のJpnIIIなら、いずれチャンスはあると思う。