「メジャーエンブレム1強」展開のカギを握る“西の先行馬”
◆展開のカギを握るのは“西の先行馬”
ビービーバーレルの調教パートナー・吉沢七留助手が、週明けの美浦でGIIIクイーンCを渋い表情で振り返った。GIIIフェアリーSを快勝し、意気込んで臨んだ桜花賞へのステップレースの結果は9着。とはいえ、彼を落胆させたのは、馬群に沈んだ所属馬の姿ではない。優勝馬メジャーエンブレムの圧倒的な強さ。それが本番への夢をしぼませたというのだ。
「自身のリズムで走れなかった前走の結果は仕方ない部分もある。ただ、考えさせられたのは、一体どうしたらあの馬を負かせるんだろうって部分。馬(ビービーバーレル)は確実に良くなってきたけど、その答えが見つからなくて…」
実は1週前追い切りの後、管理する中舘英二調教師はレース展望を次のように語っていた。
「前走は相手を負かせるよう、流れに合わせた競馬をさせてしまった。今回はポジション抜きで自分のリズムで走らせる」
聞きようによっては事実上の白旗宣言と受け取れなくもないが、実は作戦に同じ方向性を掲げる関係者が少なくない。アッラサルーテを担当する森信次郎キュウ務員もその一人。13年の桜花賞を伏兵アユサン(7番人気)で制した腕利きのベテランも、当時とは違った意識で本番を迎えようとしている。
「あの年は混戦でひょっとしたらという気持ちが内心あった。が、今年はちょっとレベルが違う。もし上位の着順だけ狙うなら、メジャーは意識しないほうがいいのかもしれない。まあ、同じ先行馬として一発の夢を抱きにくい状況ではあるね」
つまり、メジャーと同じペースで競馬をしては潰れてしまう。それが同脚質ライバル勢の集約した声。今年はチューリップ賞1、2着馬を含む「3強」という見立てもあるが、美浦ではもはや「1強」としての認知度が相当高いのだ。
ゆえに展開のカギを握るのは、ソルヴェイグ(フィリーズレビュー優勝)を筆頭とする“西の先行馬”の出方。レースが流れて純粋な力勝負となるのか、それともインサイドワークが最大のポイントとなる一戦なのか。じっくりと考えて結論を出したい。(美浦の宴会野郎・山村隆司)