マカヒキ、マウント…金子オーナーの凄さとは/トレセン発秘話
◆トップトレーナーが漏らしたひと言
今年の皐月賞にはあるべき関東馬2頭の名前がない。1頭は本番直前で左肩跛行を発症したハートレー。もう1頭は後肢の骨膜炎で弥生賞を見送ったプロディガルサンだ。前者は5月7日のオープン・プリンシパルS(東京芝2000メートル)から、後者は4月30日のGII青葉賞(東京芝2400メートル)から再始動を図るが、関東期待のディープ産駒2頭が出走していれば今週の美浦はさらに盛り上がったはず。当方とすればそのリタイアが無念でならない。
さて、そんな有力馬のリタイアもあり、皐月賞出走の賞金ラインも予想されたボーダーを格段に下回った(執筆時点で400万円3頭が抽選で出走可能)。先週はプロディガルサンを管理する国枝栄調教師に「これなら他の馬を登録しておけば皐月賞に出られたのに」と話を振ると「出て満足なのはダービーだけ。そのダービーに出たい馬はまずトライアルを意識するよ。近年の皐月賞の賞金ラインが低いのも、その辺が原因だろ」とサラリと返してきた。言われてみれば、昨年の皐月賞もまさかのフルゲート割れ(15頭)。なるほど、牡馬第1冠はダービーに比べメンバーの密度が薄くなるはずと納得した次第だ。
同時に興味深かったのはメンバーを見ながらトップトレーナーが漏らした「これ見るとやっぱり金子(真人)オーナーはすごいよな」のひと言。てっきり同氏が所有するプロディガルサンが不在でも、マウントロブソン、マカヒキの有力馬2頭を送り込んだことに感嘆しているかと思いきや…。「いや、すごいのはこっち」とトレーナーが指さしたのは馬名の脇に小さくある父馬名の欄だった。
「ディープインパクトにキングカメハメハ。今や日本を代表する種牡馬だし、今年の皐月賞も馬券の売れ筋は軒並みこの産駒だろ?しかもこの両馬をともに所有したのが一個人馬主の金子さんってのが恐ろしいよ。おそらく後にも先にもこんな人は出てこないんじゃないかなぁ」
映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」では敵役のビフが未来のスポーツ年鑑を手に大儲けするシーンが出てくるが、今これを地で行くのが金子オーナーなのかもしれない。そう考えると、やはり今年の皐月賞、マカヒキ、マウントロブソンのいずれかが馬券に絡むような気がしてならないのだが…。(美浦の宴会野郎・山村隆司)