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あえて皐月賞を使わなかった2頭に注目/トレセン発秘話

  • 2016年04月28日(木) 18時00分


◆使えなかったのではなく、使わなかった

「確かに骨膜(炎)は出たけど、決して使えなくはなかったと思う。普通の馬なら皐月賞に行っていたんじゃないかな。でも目標は、そこじゃないから。オーナーサイドもダービーを目指してくれとの意向だったので」

 これは今週の青葉賞にプロディガルサンを送り出す、国枝厩舎の番頭格・佐藤勝美助手の言葉である。並のGIよりも重いGII、それがダービートライアル。受け取り方によっては、そうも聞こえる。フルゲート割れだった昨年ほどではないにせよ、皐月賞は今年も実際“不人気”だった。一生に一度の舞台でも、ボーダーラインは最低限の賞金400万円まで下降。おそらく冒頭の発言が、この理由を端的に示している。

「今でも悔いが残るのは、同じ金子オーナーのカミノタサハラ(13年)。あれだけスケールを感じさせた馬を皐月賞(4着)で終わらせてしまった。もう同じ轍は踏めないからね。事実、間隔は空いたけど、以前に比べて実が入って馬は立派になった。(トモの)ハマりはまだ悪くても、リアルスティール、ラングレーらこの兄弟は皆そう。ラングレーに乗った(北村)ヒロシが調教でまたがったとき“兄に比べれば、しっかりしている”と言ったくらいだから」

 佐藤助手の言葉から測れば、小回りの中山二千より大箱の東京二四こそ、このディープ産駒にはうってつけか。いずれにせよ、皐月賞を使えなかったのではなく、あえて使わなかった。今年の青葉賞は、ダービーに目標を切り替えた馬たちの成長力が試される舞台と置き換えていい。

 その意味では、共同通信杯(3着)から矛先を向けた賞金900万円の馬=メートルダールも注目すべき一頭だろう。

「あの(ハイペースの)展開を見たら、ひょっとしたら皐月賞もやれたと思わなくもないですけど(笑い)。スタートが速くないので、ゆったり運べるこの距離が合っているのは確か。ボリューム感が出た体を見ると、放牧でのリフレッシュ効果も十分にうかがえます」と手応えを口にするのは、同じく厩舎番頭格の斎藤吉則助手。以前に藤沢和雄調教師が「親父もそうだったけど、産駒も総じて春を境に良くなるんだよな」と語ったゼンノロブロイ産駒。その変わり身が侮れない。(美浦の宴会野郎・山村隆司)

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