オーストラリアのトミー・ベリー騎手の第2回です。日本のジョッキーの印象や、ベリー騎手のルーツ。そして、今週のオークスで騎乗予定のロッテンマイヤーの可能性についてお聞きしました。
(取材・文/大薮喬介)
両親共にジョッキー、父は今でも調教師
――一緒にレースに乗ってみて、日本のジョッキーの印象はいかがですか?
ベリー みんな、プロフェッショナルであり、レースでも乗り方がフェアです。海外だとラフな騎乗もあったりして、すごく激しくて、危ないこともあります。ですが、日本のジョッキーは、レース中でもお互いをリスペクトし合って競馬をしている。安全の中で真剣勝負ができることは、素晴らしいことです。それに全員がフレンドリーで、気さくに声をかけてくれます。おかげですぐに日本になじむことができました。
――日本の若手で印象に残っているジョッキーはいますか?
ベリー 若手全体でいえば、潜在能力が高いジョッキーが多いと感じました。このまま順調に経験を積んでいけば、日本のレベルはさらに上がっていくでしょうね。
――小さい頃は、どのような少年だったのですか?
ベリー 私には双子の兄弟がいたのですが、小さな頃は「ブレイカーブラザーズ」と呼ばれていました。ブレイカーと言っても“ただ壊す”という意味ではありませんよ。色々な物の中身がどのようになっているのか、ものすごく興味があったんです。5歳の頃に両親からもらった誕生日プレゼントが、ドライバーやスパナが入っているキットだったほどですから。そのキットで従妹の自転車を分解して、泣かしたこともありましたね(笑)。そういうことばかりしていたので、よその家に行く時は母親が(物を分解しないか)すごく気をつけなければならなかったそうですよ(笑)。
――ご両親は大変だったでしょうね。そのご両親はどのような仕事をされていたのですか?
ベリー 両親共にジョッキーでした。父は今でも調教師として競馬に関わっているんですよ。
――お父さまとお母さまもジョッキーだったんですか!?
ベリー ええ。馬に囲まれた生活だったので、物心ついた頃には、将来は騎手になりたいと思っていましたね。
――他にスポーツなどはされていたんですか?
ベリー 運動神経には自信があったので、サッカー、ラグビー、野球など、様々なスポーツをしていました。ラグビーは今でも好きで、とくにシドニーのカンタベリー・ブルドッグスというチームを応援しています。日本で唯一不満なのは、ブルドッグスの試合が観られないことですね(笑)。
――オークス、ダービー、安田記念で有力馬に騎乗されるんですから、そのくらいは我慢してください(笑)。今週のオークスでは、忘れな草賞を勝ったロッテンマイヤーに騎乗されますね。一週前追い切りに騎乗されていましたが、いかがでしたか?
ベリー とても良かったですよ。馬体のコンディションもよくて、馬の気持ちもレースの準備ができていると感じました。心身ともに充実しているので、今からレースがすごく楽しみです。
心身ともに充実しているので、今からレースがすごく楽しみです
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