前回に引き続き、川須栄彦ジョッキーの登場です。いよいよ夏の小倉開催スタート。福岡県出身の川須ジョッキーにとって、より一層の気合いが入ります! そこで、小倉コースの特徴やどういった馬が好走しやすいかをお聞きしました。馬券のヒントになるお話が満載!
(取材・文/大薮喬介)
芝もダートも先行有利
――小倉競馬が始まりましたね。コースの特徴を教えていただけますか?
川須 小倉は小回りですし、芝の長さも短くて軽い。必然的に時計が速くなるので、芝のレースに関しては距離に関係なく、先行有利です。ダートも、どちらかといえば砂質が軽いので、先行力が大事です。
芝もダートも最初のコーナーまでにポジション争いがあるので、そこまではペースが速いのですが、コーナーに入ったとたんにペースが落ちることが多いのが特徴ですね。だから、マクリが決まったりするんです。いかに楽にポジションを取れるかが鍵になると思います。そこからペースが落ちてマクリにくる馬がいたとしても、最初に楽をしている馬がいるので、なかなか前が止まらないんですよね。それに出入りの激しい競馬になることもあるので、いかにその流れを読めるかも大事になってきます。
――先行していてマクリにこられると嫌なものですか?
川須 力のある馬に乗っていたら、うれしくはないですね。ただ、少し力の足りない馬に乗っている場合、人気馬が前にいて誰かがマクリにいったとしたら、チャンスになる。人気馬に騎乗している騎手が(他馬がマクリにきた時に)どのような対処をするかによりますけどね。
――具体的にはどのような時にチャンスになるんですか?
川須 人気馬がマクリにきた馬と一緒に上がっていって、脚を使った時ですね。早めに動かざるをえなくなれば、負かしてやろうと思っているこちらとしては、アドバンテージになりますから。
――なるほど。ちなみに川須ジョッキーが好きなコースは?
川須 成績は別として、芝なら1800mや2000m、ダートなら1000mよりも1700mのほうが好きです。やれることも多いですし、乗っている時間が長いぶん、やっぱり楽しいです。といっても、ダートの1000mが苦手というわけではないですよ。スタートには自信がありますから(笑)。
――ダートの1700mという距離はローカルならではですよね。小倉と他場で何か違いがありますか?
川須 全然違いますよ。函館との比較でいうと、函館は3コーナー過ぎから、結構みんな手が動いていますよね。でも、小倉は直線まであまり手が動かない。函館はそれだけ淀みがないんでしょうね。
――それはどういうことですか?
川須 さっきも言いましたけど、小倉は1コーナーまでポジション取りをしますが、そこからはペースが落ちて、脚をタメることができるんです。でも、函館の場合はスタートからペースが落ちることなく進むから、最後のほうで馬が苦しくなりやすいんだと思います。砂質も、函館は重いですが、小倉は軽いですから、そのあたりも関係しているのかもしれませんね。
――先ほどもおっしゃっていましたが、やはり小倉はスピードが必要なんですね。
川須 必要ですね。だから、小倉の1700mでいえば、1800mで結果を出している馬よりも、1400mで成績を残している馬のほうがいい場合もあります。1400mを使っているぶん、スピードがありますから、スッと前につけられるし、そこから脚をためて直線を迎えることができますからね。
――ほかに小倉で勝つためのポイントはありますか?
川須 あとは道中で外を回りすぎないようにすることですかね。かといって、直線が短いですから、ずっとインにいると抜け出せないこともあるので、いかに直線でさばけるかもポイントになると思います。
――芝の場合ですが、昔は開催が進むにつれて内側が荒れてきて、みんな外を回していましたよね。今はどうですか?
川須 週によりますが、今は見た目よりも荒れていないですね。だから、道中はみんなインでいかに立ち回れるかを考えていると思いますよ。新潟や中京なら直線が長いので、ジワッと外に出すことも可能ですが、小倉ではそれが難しい。勝負所で距離をロスしてでもスムーズに競馬ができる外に出すか、インで脚をためて馬群をさばくか。どちらを選択するかもポイントになるでしょうね。
――ということは、一瞬の脚が使える馬が有利ということですかね?
川須 それは絶対の武器になると思います。トビが大きくて、エンジンのかかりが遅い馬はどうしても、できることが限られますから。
――では最後に小倉、そして秋競馬へ向けての抱負をお願いします!
川須 秋競馬でいうなら、やっぱり大きいところを勝ちたいです。そのために、まずは小倉でチャンスのある馬でしっかりと結果を出すこと。その中でいい馬に巡り合えたら、うれしいですね。
いい馬に巡り合えたら、うれしいですね
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