“ウラ函の雄”クリノスターオー今年こそ!/トレセン発秘話
◆「6歳になって精神的にはグンと成長しました」
函館では毎夏出会う“函館野郎”たる関係者が何人かいる。美浦組では今年の皐月賞馬ディーマジェスティを担当する島田明男調教キュウ務員がその代表格。一方、栗東なら山内キュウ舎の榊原洋一キュウ務員、西村キュウ舎の梅内栄子助手、西浦キュウ舎の伊藤強助手らがおなじみのメンバー。彼らの顔を函館で見て、ようやく夏が来たという実感が当方に湧いてくるほどだ。
さて、今週のGIIIエルムSにも“ウラ函”ならではの顔がある。今年で3年連続の挑戦となるクリノスターオーと中塚健一助手のコンビだ。過去2年同様に今年も函館競馬場で調整し重賞取りに挑むが、注目すべきは過去にない意気込み。同レースは2,4着と惜敗続きだが、今年こそやってくれそうなムードが伝わってくる。
「集大成?ある意味、そうかもしれませんね。最初の年は栗東で乗り込んで2週前に函館入り。昨年は牧場から直接函館に入り調整。その2回を踏まえて、今年は栗東から1週前に入キュウ。臨戦過程においてはベストの選択をしたつもりです」
ローマンレジェンドにアタマ差の惜敗だった4歳時に比べ、5歳時の昨年はジェベルムーサから0秒3差4着とパフォーマンスが低下したが、これには深い理由がある。
「昨年は右前の爪の状態がひと息で、馬の覇気ももうひとつ。レース後には痛がるそぶりも見せていました。逆にその心配がない今年は調教の様子から違うでしょ?」
確かに中塚助手の言葉通り。昨年はキャンターに下ろそうとすると反抗して馬が止まる繰り返し。調整に四苦八苦していたが、今年は同馬はむしろ馬場入り後に行くのをなだめるくらいの走る気を見せている。この姿ひとつ見ても、健康度において昨年と雲泥の差があるのは歴然だ。
「6歳になって精神的にはグンと成長しました。以前は調教で好時計が出ても最後はバタバタという感じだったが、今は時計のみならず反応自体が良くなっている。自分としては積極的な競馬もイメージしていますし、何とか3度目の正直としたいのが本音です」
今年の札幌開催はイマイチ“ウラ函組”の勢いが上がってこないが、その代表格たる同馬が結果を出すようなら…。“隠れ函館野郎”たる当方の経済事情もグッと楽になるはずである。(美浦の宴会野郎・山村隆司)