希代のムラ馬ヒットザがモーリス差す?/トレセン発秘話
◆とにかく実績の割に常に馬券が売れないキャラ
先週当欄で推奨した“裏函の雄”クリノスターオー(4番人気)はエルムSで2着善戦。しかし、さらなる伏兵リッカルド(7番人気)の大駆けで当方、涙をのんだが…函館ウッドで動かないクリノスターオーの特性を理解しなければ、◎を打てなかったのも事実。今週こそと、函館事情に精通する男の復権を誓う“裏函野郎”である。
さて、その候補の一頭が、昨年同様に函館調整から札幌記念に挑むヒットザターゲット。昨年は8番人気で2着と波乱の立役者になったが、過去4勝した重賞も人気は5,6,11,11。とにかく実績の割に常に馬券が売れないキャラである。
「トレセンに入って11年目。半分以上(7年)この馬と一緒ですけど…。いつ走るかって? それはボクが聞きたい(笑い)」
担当の清生裕丈助手にしてこうだから、希代のムラ馬であるのは確かだろう。だが、そのチャランポランな姿勢が逆に息の長い活躍を呼ぶのかもしれない。
「まあ、確かに消耗度は少ないでしょう(笑い)。今年は一度札幌に入ってから函館に来ましたが、札幌滞在時は馬っ気がひどく体を減らしたほど。それだけ気が若いし、筋肉も若い。晩成のタマモクロス(母父)の血がしっかり流れている」
それでも函館入りしてからの調整は昨年に比べて格段に順調だ。キャンターに下ろしてから進んで行かず、70-40が手一杯の調整を強いられた昨年に対し、今年は1週前にウッド5ハロン67.4秒と“破格時計”をマーク。活気は間違いなく昨年以上のものがある。
「ネオンが見える札幌から移って人も馬も落ち着いたのが良かったんですかね(笑い)。具合はいいし、あとはこの馬の激走法則に乗ってくれれば」
清生クンの語る“ムラ馬の激走法則”とは至って単純。重賞勝ちの過去の枠番((1)→(3)→(2)→(1))が示す通り、まずは内枠に収まることなのだが…。
「外でスムーズだと気が抜けちゃう。馬群にもまれているほうが断然ファイトを出すんです。それに抜けた馬がいたほうが実は競馬がしやすい。単勝万馬券を出した京都大賞典(13年)はゴールドシップがいたけど、今年の主役はモーリス。皆がそれを目掛けて脚を使う中で、コイツは自分の競馬をするだけですから。昨年もあと10メートルあれば差し切っていた内容。今年も最後にひょいっとね」
枠順は出てみなければ分からないが、その他のお膳立ては十分整った。希代のムラ馬に注目だ。(美浦の宴会野郎・山村隆司)