ブラックオニキス 札幌2歳S「10番人気2着」はフロックではない/トレセン発秘話
◆城戸Jにも初タイトルのチャンスが再び
3連単50万円超の波乱決着となった今年の札幌2歳S(3日)。“北の新人王”に輝いたのは公営・川崎から参戦の地方馬トラスト。地方馬の制覇は2001年ヤマノブリザード、03年モエレエスポワール以来3頭目の快挙で、その後中央入りした先輩同様にこちらも栗東・中村均厩舎に転入してさらなる高みを目指すわけだが…。
当方にとってそれ以上に“今後”が気になる存在が、紅一点の参戦で波乱の立役者となった2着ブラックオニキス(10番人気)と城戸義政(22)のコンビ。今回はここまで走るという確証がなく無印としてしまったが、話を聞けば聞くほど“まだ馬券になる”対象であることが分かったからだ。
「連戦で疲れも多少あったでしょうし、何より大外枠が痛かった」
鞍上・城戸の第一声が示す通り、今回はデビューから6走目となる“予定外”の一戦。当初はクローバー賞(1着)後に放牧に出される予定で、馬房さえ確保していない状況だった。最終追いも札幌の芝コースで3ハロンから15-15の微調整…。余力があったとは言えない中での参戦だったのだ。
「城戸もうまく乗ってくれましたけどね。彼が言うように内枠ならもっと際どかったはず。外枠で大事に乗らざるを得なかったが、内なら勝ち馬の直後につけてスムーズに運べたと思いますよ」
こう語ったのは、調教パートナーを今回務めた加藤士津八助手。彼とは騎手時代からの付き合いで、深夜に呼び出し酒席に付き合わせたことも数知れず。それでも印を回せなかったのは、調教でもバランスを崩しかけたように重い芝が合わない小兵(408キロ)に映ったからでもある。
「今回もノメっていたし、確かに馬場もパンパンのほうがいいです。でも小さいけど本当に辛抱強い。放牧で立て直せばまだ良くなるし、次回こそ…。(クローバー賞で)一度負かした馬なのに…クソー、ムカつくわ」と言葉を締めた城戸。勝てば彼にとってはデビュー4年目で重賞初Vだっただけに、悔しさがこみ上げたのだろう。
今後はGIIIファンタジーS(11月5日)からGI阪神JF(12月11日)を目指すブラックオニキス。
キタサンブラックを筆頭に、地味ながらきっかけをつかめば確実に力をつけるブラックタイド産駒。条件が整えば城戸にも初タイトルのチャンスが再び巡ってきそうなムードである。