シュウジも本気だがファルクスはそれ以上!!/トレセン発秘話
◆「サマーシリーズに目もくれぬローテ選択…」
「サマーシリーズ優勝に王手をかけても、セントウルSを使うつもりはないわ。そうしてしまうとGIスプリンターズSでオツリがないからな」
シュウジの須貝尚介調教師がキーンランドC(2着)前に残した言葉は、おそらくその可能性を示唆するものだろう。ビッグアーサー“1強時代”に突入したかに見えるスプリント戦線でも、シュウジはまだキャリア9戦の3歳馬。芝6ハロン<1200>と底を見せない素材が、大舞台でどこまでやれるか。関係者ならずとも関心を引く部分はある。
ただ北海道から美浦に戻ってきて、遅ればせながら大事なことに気がついた。実はサマースプリントシリーズで当初、最もチャンスがあったのは第2戦・CBC賞を快勝したレッドファルクス。見逃してはならないのは、その興味深い動向である。
「前走でも背腰はギリギリの状態だったし、夏場は疲れを取るために放牧に出した」
管理する尾関知人調教師はCBC賞後の休養理由をかく伝えたが、同時にこうも語っている。
「中京芝はパワー型が有利と思ってこれまで番組を選んでいたけど、前走で高速決着、高速上がりに対応したのは大きな収穫だった」
同馬のキャラから測れば、力のいる北海道の洋芝は本来うってつけだった。無理をすれば優勝チャンスも大いにあったはずなのだ。しかし、それに目もくれぬローテ選択…これは前出シュウジを上回るGIへの本気度を表している。
とはいえ、キュウ舎内にはこんな声もある。
「2頭出しは人気薄とも言うからね。サクラゴスペルが先着しても全然驚かない」(二口助手)
今回はレッドファルクスの陰にすっかり隠れた形のサクラゴスペルとて堂々の昨年2着馬。「中山は最も安心して見ていられるコース」と指揮官が言う通り、この競馬場の芝6ハロンで連対を外したのは“世界のロードカナロア”にガチンコ勝負を挑んだ13年スプリンターズS(11着)のみだ。8歳にしてGI初制覇は普通なら考えにくいのだが…。放牧明け&中山コースがお決まりの好走パターンの同馬にも、もつれる展開なら台頭の余地は十分ある。印の序列はさておき、ともにマークは必要――が担当記者の結論である。(美浦の宴会野郎・山村隆司)