21世紀の大出世レースAR共和国杯 今年はモンドインテロだ/トレセン発秘話
◆未来に向けた希望がこの一戦に詰まっている
もはやGIのはざまにおける低調なハンデ戦ではない。いわゆる“出世レース”と言ってもいい。今週の東京メーン・アルゼンチン共和国杯のことである。2007年優勝馬アドマイヤジュピタは翌年の天皇賞(春)を、08年スクリーンヒーローは同年ジャパンCを制覇。さらに10年トーセンジョーダンは翌年天皇賞(秋)を、昨年ゴールドアクターは同年有馬記念を勝利している。2500メートルという特殊距離にあってフルゲート登録(18頭)は出走奨励金(100万円)の効果もあろうが、実際、未来に向けた希望もこの一戦に詰まっているのだ。
さて、先に挙げた4頭の“出世馬”がここを制したのはすべて4歳時。その意味ではいかに若い時期に勝つかが重要な舞台なのだが、今年2頭の4歳馬で当方が注目するのは遅咲きのディープインパクト産駒=モンドインテロである。
「デビュー当時は前脚の出があまりに悪くてダートを選択したほど。それを思えば、コンスタントに使えること自体が軌道に乗った証しでしょう」
担当の藤井省二助手がこう語るように、3歳時は休み休みでなんとか6走(計3勝)。それが今年初戦を勝ってオープン入りすると、8月までに5走で計3勝。いわゆる夏の上がり馬だ。GI馬に上り詰めた“先輩”たちに並ぶバックボーンは備わっている。
「ホント、一走ごとに馬が強くなっている。春の目黒記念(5着)とは、動き、雰囲気からして違うからね。そうだな、ヤングマンパワーに似たムードが今はあるよ」(手塚調教師)
過去の重賞2戦は6→5着。それでも関屋記念→富士Sと重賞を連勝した格上の僚馬を引き合いに出すほど、指揮官はその充実度を感じ取っているということだろう。
「何より馬を気に入ってくれているルメールが連続騎乗できるのが一番の魅力かな。1000万を勝った時は“モンドインテロ大好き”と言っていたし、前走も“反応が良くなったね”と手放しで褒めていた。ここを勝つようなら香港(GI香港ヴァーズ=芝2400メートル)も視野に入ってくる」
次週金曜(11日)夜に予定される都内の勝ち祝い(ヤングマンパワー)は都合で参加できないが、モンドインテロVで別口の祝宴が実現濃厚と思っている。 (美浦の宴会野郎・山村隆司)