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【GI初騎乗】杉原誠人騎手(3)『師匠の藤沢和雄調教師と兄弟子の北村宏司騎手』

  • 2016年12月21日(水) 18時00分
師匠である藤沢和雄調教師、兄弟子である北村宏司騎手から学んだこととはいったい!?


レースでは折り合いと馬のリズムを大事にしているという杉原騎手。今回は、師匠である藤沢和雄調教師、兄弟子である北村宏司騎手のことをお聞きしました! 2人から学んだこととはいったい!?
(取材・文/大薮喬介)


これまででスゴいと思った馬は、コディーノです

――馬のリズムを大事にするというのは、やはり藤沢和調教師の教えなんでしょうか?

杉原 それもありますが、一番は自分の騎乗スタイルに合っているからですね。

――藤沢和調教師は、普段どんなアドバイスをしてくれるんですか?

杉原 先生は事細かくアドバイスをする方ではないです。でも「外を回りすぎだ。内の馬も一生懸命に走っているんだから、3頭分外を回るだけで追いつけなくて馬は走る気をなくすんだぞ」とか、「最後にしっかり脚を使わせることを心がけろ」とはよく言われますね。うちの馬はスタートがいい馬が多いですが、あえて抑えたりもします。目先の勝利だけではなくて、今後のことを考えての指示ですよね。だから、余計に馬のリズムが大事になってくるんです。

――やっぱり藤沢イズムが浸透しているじゃないですか!

杉原 そうなんですかね。まぁ、僕自身も終いをしっかり伸ばしたいと思うので、そうなのかもしれませんね。

――プロレタリアトで勝った古都Sも追い出しをギリギリまで我慢していましたよね。

杉原 手応えに余裕があったので抜け出すこともできたんですが、馬は1頭になると走るのをやめてしまいますから、ゴール板までキッチリと脚を使わせたいと思ったんです。

――よくソラを使うと言いますが、馬は1頭になると走る気をなくすんですか?

杉原 すべてとは言いませんが、だいたいの馬はそうだと思いますよ。一生懸命に走っている馬が近くにいたほうが走る気が出ます。これも先生がよくおっしゃっていることです。

――兄弟子の北村宏騎手からもアドバイスをもらうことはありますか?

杉原 もちろん、ありますよ。乗っていたレースのVTRを僕だけじゃなくて、厩舎スタッフと一緒に観て相談し合うんです。ああいう姿を見るだけでも勉強になりますよね。本当に騎手としても人としても尊敬できる方です。ただ、同じジョッキーですから、追いつきたいですし、いつかは追い抜かないといけない存在でもあります。

キシュトーーク

師匠である藤沢和雄調教師、兄弟子である北村宏司騎手とのスリーショット



――ジョッキーですからその気持ちを持っていないとダメですよね。一流馬ぞろいの藤沢和厩舎ですが、レースや調教で騎乗された中で、最もスゴいと感じたのはどの馬ですか?

杉原 これまでいろいろな馬に乗せていただきましたが、印象に強く残っているのはコディーノです。ずっと攻め馬に乗せていただいていて、最初の頃は引っかかりやすい馬でした。だから、先生には折り合いに気をつけて乗れと言われていたんですが、気持ちも前向きですし、瞬発力もありましたからね。初めて芝で追い切った時に、ストライドが大きいのに回転も速かったので、馬体が前後にちぎれるんじゃないかとビビったほどです。実際のレースに乗ったら、どんな感じだろうとゾクゾクしましたね。

――キズナやエピファネイアと同世代でGIは獲れませんでしたが、札幌2歳Sと東スポ杯2歳Sを連勝して、朝日杯FS2着、皐月賞も3着ですもんね。

杉原 ええ、本気で走った時は本当にスゴかったです。ちょうど春のクラシックの頃に主戦だった横山典さんが追い切りに乗って、「すごく乗りやすくなった。お前のおかげだな」とおっしゃっていただいたんです。あれはすごく嬉しかったです。

――ずっと折り合いに専念して攻め馬に乗っていた杉原騎手にとっては、一番うれしい言葉ですよね。ただ、ダービー以降は好走できませんでした。何か原因があったのでしょうか?

杉原 今思えばですが、完成されすぎていたのかもしれませんね。最初からスゴかったので、伸びしろという意味では、あまりなかったのかもしれません。

――なるほど。でも、攻め馬とはいえ、それほどの馬に乗り続けられたのは財産ですよね。

杉原 はい。ダービーの週も自分が騎乗するわけではないのに、ずっと緊張していましたから。今年のエリザベス女王杯で緊張せずに乗れたのも、あの経験があったからかもしれませんね。僕のメンタル面を鍛えてくれた思い出の馬です。
キシュトーーク

コディーノの調教をつける杉原騎手(写真は2013年美浦トレセン、撮影:佐々木 祥恵)


――藤沢和厩舎に所属してるからこその経験ですし、一流馬たちの背中を知っているわけですから、その経験が他厩舎の馬に騎乗した時に役に立ちますよね。

杉原 はい。まだまだですが、新馬に乗った時はこの馬はコディーノの兄に似ているなとか、このタイプはこのクラスまでいけるかなと物差しになりますからね。競馬学校の時からペルーサの攻め馬にも乗せていただきましたし、こういった話はきりがないほどあります。本当に先生には感謝の言葉しかないですよね。これから、少しでも自厩舎の馬で勝って恩返ししたいです。

(次回へつづく)

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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