上げ潮ムードの手塚厩舎 今週はこの2頭/トレセン発秘話
◆今季重賞初Vを東西で狙う
「少なくともパシフィックギャル(13年アルテミスS、14年フラワーCともに2着)くらい走るよ。これからオークスを目指していけたらいいな」
手塚貴久調教師の言葉から勝利を予感させたルヴォワールが、先週(8日)の中山(芝内2000メートル)で堂々の初陣Vを果たした。追われて重心が沈む走法は稽古同様ほれぼれするもの。右前に外傷を負ったため放牧でひと息入れる予定だが、「まだ体も緩く、本格化はこれから」が陣営の共通認識だ。7日の中山の500万・寒竹賞(芝2000メートル)で牡馬を一蹴したホウオウパフュームなど、存在感のある牝馬が続出するのが現3歳世代の特徴。ハイレベルな牝馬戦線に楽しみな馬がまた一頭加わった。
さて、上々の滑り出しになった手塚キュウ舎が、今週は今季重賞初Vを東西で狙う。京成杯=マイネルスフェーン、日経新春杯=モンドインテロだ。
「京都2400は2戦2勝。相性良く、まさにベストの条件だね。出遅れた前走(ステイヤーズS3着)は、スローのヨーイドンを外から追い上げた分、きつくなったから。うまく流れに乗れれば」
指揮官がこう語るのは、重賞3戦で5、4、3着(0秒3差以内)と惜敗が続く後者。「最近勝てる気がしなくなってきたな〜」と担当の藤井省二助手が苦笑いするようにワンパンチ欲しい感もあるが、芝5勝中4勝は平坦コースで挙げたもの。東京や中山と違い京都ならひと押し利いても、の予感が働く。
対して「全休明け(10日)は妙に張り切ってたけど、普段はメチャメチャおとなしいんです。気性はステイゴールドっぽくない一方、体はデビュー前と比べて随分しっかりしました。その成長力は、やはり父譲りかな」と話すのは、前者マイネルスフェーンの松本純輔助手。もっとも、昨年7月デビューから休まず、ここで8戦目。このタフさは、むしろオークス(8着)まで11戦を走り抜いた母マイネジャーダ譲りかもしれない。
「最近は仕掛けてからの反応が変わってきた。調教でバリバリ攻めているわけじゃないから、まさに実戦叩き上げ。前走(ホープフルS2着)だって3着は血統馬(母シーザリオ)なんだから褒めていいよ」と指揮官。ともに勝機十分であるが、心情的には休まず頑張るマイネルスフェーンにご褒美をあげたいところ。さて、キュウ舎の上げ潮ムードに乗るのは、どちらか?(美浦の宴会野郎・山村隆司)