◆磐井助手「こういうタイプは総じて冬型ですよ」
先週木曜(12日)朝のスタンド前。ニューイヤーS(15日=中山)出走のイッテツを担当する磐井圭一助手(斎藤誠厩舎)に声を掛けると、待ってましたとばかりの逆取材を受けた。
「マイルの距離は未知数だけに理想はマイペースの逃げですが、ここは行く馬いるんですか?」
ちょっとプロらしい答えを出してやろうと当方はメンバーを吟味。しかしその熟考中、彼が勝手に分析を開始してしゃべり始めた。
「あ、これエンジェルフェイスでしょ? 最近は逃げてないけど、ハナを許すと味ないもん。このレース、この馬との枠の兼ね合いがカギですね」
レース結果はエンジェルフェイスが大外枠で逃げられず、ハナを奪ったイッテツもシンガリ負け。互いの研究がまるで役に立つことはなかったのだが、実はそんなことより衝撃を受けたことがある。この一戦の優勝馬マイネルアウラートについての彼との会話である。
「ハナを切っても58キロを意識してアウラートが早めに来るんじゃない? そうなると苦しいよ」
この当方の言葉に磐井クンが過敏に反応した。
「確かに怖いですね。だってこの馬、典型的な冬型できっと今が絶好調でしょうからね」
なぜ、他厩舎の持ち乗り助手がそんなことまで知っているのか? 疑問に感じて問いただすと、思いがけない言葉が返ってきた。
「こういうテンションが高めのタイプは総じて冬型ですよ。夏場は勝手に燃え上がった馬が暑さで消耗しちゃうんです。加えて(北海道開催以外の)ローカル時期は必ず輸送があるでしょ? ダブルパンチです。逆に冬場の地元開催だと消耗がない分、走れるんですよ」
実は当方、夏型、冬型の傾向は単に新陳代謝の関係(脂肪がつきやすい)によるものとこれまで思ってきた。だが、彼の言葉には妙に説得力があり納得させられた。実際、アウラートの手綱を取った柴田大知は「この時期が合うのか、今は本当に具合がいいですね」と目を細めていた。
気性と走る季節の相関性。それを見いだすことができれば、思わぬ伏兵を発見し穴馬券を取ることも可能かもしれないと思った次第だ。(美浦の宴会野郎・山村隆司)