AJCC優勝タンタに続くプロディガルサン/トレセン発秘話
◆国枝師「この馬も飛躍の年にしたいんだ」
「なんであんなに人気がなかったのかな。これでもGI4着馬だぞ」
週明けの美浦で国枝栄調教師が“心外だ”と言わんばかりに22日のAJCCを振り返った。昨年の天皇賞・春のキタサンブラックとの接戦(0秒3差)を思えば、確かにタンタアレグリアの単勝14・7倍はつけ過ぎ。「先を見据えたら、正直このあたりで負けてもらっては困る」(佐藤勝美助手)というキュウ舎の意気込みとアンバランスなオッズに、本命にした当方も困惑したほどだ。まさか重賞を15か月勝っていないキュウ舎とバカにされたわけではあるまいが…。
「イン強襲は作戦通り。人気のゼーヴィントは外を回すから、ウチはロスなく運ぼうとレース前に(蛯名)マサヨシと話していたんだ。天皇賞前の次走は阪神大賞典か日経賞。使ったことでもう一段スケールアップするといいな」(国枝師)
勝ち時計2分11秒台の決着は05年クラフトワーク以来12年ぶり。それだけレースが流れた証しだが、休養前は3000メートル以上のレースばかり4戦連続で走ってきた。そんな馬が久々の実戦で苦もなくペース対応したのだから、数字(12キロ増)が示すだけの成長はあった。「山村さんの◎にも負けなかったから大したもの」との椎本英男助手の戯言は置いておくとしても、だ。
さて、今週はタンタの“弟分”プロディガルサンが土曜(28日)東京オープン・白富士S(芝2000メートル)にスタンバイする。先週、前出・椎本助手には「現状、タンタとこの馬どっちが上?」と馬券の参考に質問したのだが、それはセントライト記念で2、3着を分けたゼーヴィントとプロディガルサンが同格との見立てがあればこそ。むろん、こちらもオープン特別あたりで負けていては困るのだが…。
「フルゲート14頭で賞金16番目か。いや、参ったなぁ」
除外対象という事実に直面して、指揮官が頭を抱えている。回避馬が2頭出ない限り、復帰戦はさらにズレ込むことになる(※26日、出走馬が確定し、除外となった)。
「菊花賞(11着)後は帰キュウして熱発したりするなどのひ弱さもあったが、芯が入り馬体はひと回り成長。今じゃ稽古でタンタよりも動けるからね。この馬も飛躍の年にしたいんだ」と国枝師。その成長度合いをぜひとも見極めたい舞台だが、果たして木曜(26日)投票の結果は?(美浦の宴会野郎・山村隆司)