12月20〜24日の川崎競馬は“プチナイター”と銘打たれ、連日およそ1時間繰り下げて行なわれる。最終レース発走17時10分、どうということもないのだが、まあそこはXマスシーズン。川崎サイドとすれば、照明、イルミネーションのある強みを、ここで生かしたいということだろう。ともあれ番組はダブル重賞で充実している。デート前のひと稼ぎ。そんなスポットになればもちろんいいが。
全日本2歳優駿(22日 サラ2歳定量 交流G1 1600m)
◎シーチャリオット (54・内田博)
○ダイナマイトリジイ (54・張田)
▲プライドキム (54・池添)
△シベリアンホビー (54・中舘)
△カズサライン (54・穂刈)
△ダイヤサンディ (54・的場文)
△ワールドアベニュー (54・横山典)
JRA対南関東、いわゆるガチンコ勝負の図式となったが、比べようがない部分が正直大きい。ダート2戦2勝、レコードで突き進んだシベリアンホビー、同じくダート土つかず、前走交流兵庫JCも問題なく通過したプライドキム。人気はやはりJRA勢がリードするか。ただし南関東2頭もここまでのレースぶりは圧巻で、ともに2戦無敗。とりわけシーチャリオットは、前走平和賞1000m→1600mを、素晴らしい瞬発力と精神力でクリアした。そしてフレンチデュピティ産駒らしいスピード、好馬体を誇るダイナマイトリジイ。無責任ながら、やってみなくては…が本音だろう。それにしてもこういう顔ぶれはワクワクする。未知のもの同士がぶつかる、それを胸躍らせながら見られる愉しさ。文字通り競馬の原点。記者自身はシーチャリオットから馬単3点を買って観戦する。
報知オールスターC(23日 サラ3歳以上別定 南関東G3 2000m)
◎ウツミジョーダン (55・小林俊)
○マキノヒリュウ (54・野崎)
▲ブルーローレンス (52・的場文)
△エスプリシーズ (57・森下)
△ベルモントソレイユ (55・御神本)
△イシノファミリー (55・山田信)
△テラノコマンダー (54・内田博)
ブラウンシャトレー (58・張田)
G1川崎記念レコード勝ちエスプリシーズは、以後10か月の長期休養明け。それだけ力走の反動が大きかったということで、正直急仕上げは否めない。位置取り、流れはどうあれ、いきなり2000mで息が保つかどうか大きな不安。今回手探りが本音だろう。実力馬らしいレースができれば、明春“連覇”にも夢がつながる。
岩手・ウツミジョーダンを狙った。前走浦和記念4着。道中モタつき直線だけの競馬だったが、ゴール際外から伸びた脚はなかなかの迫力だった。3歳時いったん南関東に移籍、しらさぎ賞を勝ち、クラウンCを2着している。今が旬という4歳馬。南部杯、ユートピアの5着は地方勢最先着で、エスプリシーズを除けば格の面でも見劣りしない。左回り中〜長距離ベスト。まくり気味に動ければチャンスが出る。
マキノヒリュウは今秋初めて重賞挑戦。しかし埼玉新聞杯、京成盃GМ、堂々たる正攻法で2、3着と健闘した。地味なイメージ、格下感もすでにはっきり返上だろう。充実度と自在性を素直に買う。ブルーローレンスは3歳の成長株。大井クラシックこそ不振だったが、以後B1〜A3を4連勝。地元川崎はここまで6戦負けを知らない。マイペースで逃げてベルモントソレイユ、逆に末脚勝負でイシノファミリー。ブラウンシャトレーはひと息入れた上に58キロ。川崎2000mもしっくりこない。
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12月15日、船橋「クイーン賞」はレマーズガールの完勝だった。道中好位をスムーズに進み、3〜4角早めのスパート。直線インに進路をとる余裕があり、理想的な勝ちパターン。GOサインと同時に一気に抜け出し、最後まで危なげなかった。「今日はパドックで乗った瞬間、いいなと思った。気分に波があるタイプですね。力通りのレースでしょう」(武豊騎手)。これまで船橋コースはなぜか鬼門。前半追走に苦しむケースが多かった。それが自らハミをとり、文字通りの横綱相撲。交流重賞これで5勝目。地方ダート適性も含め、ひとまず順当な結果といえる。
クイーン賞(サラ3歳上牝馬 別定 1800m良)
△(1)レマーズガール (56・武豊) 1分53秒5
▲(2)グラッブユアハート (55・安藤勝) 3/4
(3)ブルーマドンナ (54・石崎駿) 2
○(4)プルザトリガー (54・内田博) 1
◎(5)ジーナフォンテン (56・張田) 1.1/2
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△(7)ホウザングラマー (54・的場文)
△(8)ハイフレンドトーレ (54・村上忍)
単330円 馬複400円 馬単890円
3連複6360円 3連単25140円
ただし1800m1分53秒5の時計。道中スロー、確かに上がりの競馬だが、翌日A2下準重賞が1600m1分40秒8(サクラハーン)。内容とするとそう手放しではほめられない。中団待機で末脚に徹した安藤勝・グラッブユアハート。「折り合って行ければ最後必ずいい脚を使ってくれる。今日は相手がしぶとかった」。結局この2頭のカケヒキ勝負だったと思うと、地方サイドの不満は大きい。レマーズは牡馬相手では勝負にならず、ホクトベガはもちろん、ファストフレンドにも大きく及ばない馬である。少なくとも“女傑”とは呼べない。とすると、さて南関東の牝馬はどうしたレベルか。個人的には何やら暗澹たる思いもある。
3連勝で高配当をもたらしたブルーマドンナはまだ昇りめがありそうだが、本来ズブい馬でスピード競馬になると少々苦しい。プルザトリガーは外枠もあり道中苦しかったが、全体の内容は及第点。期待したジーナフォンテンは当日10度の冷え込みの中、おびただしい発汗だった。レースも折り合いひと息で、次走をどう評価するか正直迷う。ホウザングラマーは次への試走、ハイフレンドトーレは展開負け。明けてTCK女王盃、エンプレス盃。地方サイドはやはり“新戦力”がほしくなる。