いよいよ04年総決算のときを迎えた。およそ2年、ダート王の名を欲しいままにしたアドマイヤドンが新境地を求め有馬記念にチャレンジ(7着)。しかし駒落ちどころか、むしろより以上の好カードにしてしまうのが現在JRAダート界の凄いところで、次々とフレッシュな新戦力が登場する。実際“補欠”にもジンクライシス、ヒシアトラスら錚々たる名前が並んでいた。12月29日が待ち遠しい。
東京大賞典(12月29日大井 3歳以上定量 交流G1 2000m)
◎アジュディミツオー (55・内田博)
○カフェオリンポス (55・岡部)
▲パーソナルラッシュ (55・安藤勝)
△タイムパラドックス (57・武豊)
△シャコーオープン (57・的場文)
△キョウエイプライド (55・張田)
△ユートピア (57・横山典)
モエレトレジャー (55・金子)
クーリンガー (57・和田竜)
トーシンブリザード (57・今野)
予想のテーマを「3歳馬」に絞った。衆知の通り、今季3歳馬は芝ダート問わず世代レベルが極めて高く、今回◎○▲に推した3頭、いずれも王者ドンと互角以上の潜在能力を持っている。血統、ルックス、レースぶり、それぞれ華があって個性的。ともあれここはアジュディミツオーに締めてほしい。その戦歴、ことごとく型破り。デビュー3戦目の重賞勝ち(東京湾C)が驚異なら、続く4戦目東京ダービー制覇など、記者の知る過去南関東30年、まるで前例のない快挙である。そして前走JBCクラシック、ゴール際ドンを差し返すかというシーンを作った。04年、最後の最後で再び“サプライズ”を期待する。ミツオーは中間もすこぶる順調。1週前の追い切りなど、シーチャリオットを文字通り子供扱いで圧倒した。
記録面では岩手・ダービーGPレコード圧勝、夢の米・ブリーダーズCでも善戦したパーソナルラッシュが最上位。ただし馬券的嗅覚は、現実に大井JDダービーを豪快に差し切ったカフェオリンポスの方にむしろ惹かれる。何より叩き2戦目のステップが、ここで完全燃焼を思わせる。タイムパラドックスはなるほどJCダート、ドンに2.1/2差完勝だが、ハイペースをじっくり乗り、しかもインを突いた武豊の好騎乗が大きいと考えた。シャコーオープンは中間じっくり立て直し、改めて正念場。独走した東京記念が本物かどうかだが、当時は昨年ネームヴァリュー級のインパクトが確かにあった。モエレトレジャーは金子騎手がどう乗るか。差しに回って入着を狙うイメージが正直強い。ユートピア、クーリンガーは2000mのG1となると迫力不足で、大穴なら人気急降下のキョウエイプライド。
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全日本2歳優駿(12月22日川崎 サラ2歳 定量 交流G1 1600m)
▲(1)プライドキム (54・池添) 1分40秒6
◎(2)シーチャリオット (54・内田博) 4
△(3)シべリアンホビー (54・中舘) 鼻
(4)ヨシノコンドル (54・酒井) 5
△(5)ダイヤサンディ (54・的場文) 1
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△(7)ワールドアベニュー (54・横山典)
○(8)ダイナマイトリジイ (54・張田)
△(9)カズサライン (54・穂刈)
単440円 馬複520円 馬単1290円
3連複400円 3連単2840円
プライドキムが横綱相撲で圧勝した。好スタートのシベリアンホビーがグングン飛ばし、3F35秒2、1000m61秒0のハイペース。それを手応え十分の2番手、直線早めに交わして独走だから中身が濃い。1600m1分40秒6は交流以来7年を通じレースレコード。「ダート適性はもちろん、能力自体が高いのでしょう。今日はまだ余力があった。選択肢が広がりますね」(池添騎手)。パドックなど少し線が細い馬体に見えたが、結果からは実戦向きということだろう。父アフリートは、プリエミネンスを代表にしたたかなダート巧者を出している。完成度も含め2歳No.1に異論ない。
シーチャリオットは、パドックで馬っ気をみせるなど、記者の抱いたイメージより全体に子供っぽかった。道中終始クビを上げスムーズさを欠くレースぶり。それでも連打のステッキで最後2着に届いたあたり、いうところの身体能力、運動能力は相当高い。ひいき目を承知で書けばプライドキムとほぼ互角。改めて馬体を見ると、手足がスラリと長く、血統ほど短〜マイラータイプとも思えない。いざレースに及びどう集中するかが今後のテーマ。内田博幸J、調教で騎乗できない(船橋所属)だけに、少し歯がゆい面があるかもしれない。いずれにせよ少し長い目で見るべきタイプの馬だ。
シベリアンホビーはスタート、二の脚とも抜群に速く、しかしまだキャリア3戦、総合能力でプライドキムに完敗した。それでも自身1600m1分41秒4、今後地方馬にとってもいい目標基準になるだろう。シベリアン自体は折り合いがこれから課題か。入着確保のヨシノコンドル、ダイヤサンディはひとまず道営レベル、もまれた逞しさが結果に出た。ワールドアベニューは初ダートで自分の競馬ができず、デビュー2連勝ダイナマイトリジイ同様、これが次への経験となるかどうか。