2頭出し高木厩舎サウンドトゥルーより不気味なホワイトフーガ/トレセン発秘話
◆高木登師「もう東京千六は使いたくないっす」
「東スポは3人態勢? すごい熱の入れようですねぇ。あ、今週はGIか」
浅野厩舎の伊藤悠介助手が普段通りのニコニコ顔で近づいてきたのは、全休明け(14日)の美浦早朝。GIは記者もハードとすり込まれているため(決してそんなことないが)、一人勝手に納得している。そんな純朴な彼が突如、逆取材してきた。
「そういえばカフジテイクとサウンドトゥルーの鞍上決まりました? 上位人気を分ける馬が揃って乗り替わりなんて記憶にないですよね。その信頼度ってどうですか?」
GIウイークは一般ファンのごとくはしゃぐのが、純粋に(?)競馬好きな彼のかわいい一面。その時は「週末の新聞に答えがある」と東スポの購入を勧めた優良社員だが、内心すでに決めていたのがサウンドトゥルーを含む高木厩舎2頭出しのジャッジだった。
そのサウンドトゥルー、伊藤助手が言う通り注目必至の実績馬。だが非常に気になることがある。主戦・大野の騎乗停止ではない。それは約1年8か月ぶりの出走となる東京マイルの適性だ。
「もう東京千六は使いたくないっす」
高木登調教師がこう語ったのは、15年アハルテケS(1番人気7着)のレース後。スタートの芝地点で「スタンドがどよめくほど」(高木師)大きく置かれてしまい、最速上がり(35秒7)をマークも0秒5差に押し上げるのが精一杯。もし東京大賞典(3着)、川崎記念(2着)のいずれかを勝っていれば、昨年同様にこの舞台はスキップしたのではないか。
「1週前の金曜(10日)に本馬場に入れた時はいい感じで走れた。当時に比べてスタートを出るし柔らかみもあるから、芝に対応してくれないか」
指揮官のこの言葉も冷静に考えると願望含み。むしろ当方にとって不気味なのは、2年連続参戦の同厩ホワイトフーガである。
「昨年はバシャバシャの重馬場で出していくしかないと思ったが、脚がたまったとしてもあのレコード決着では厳しかったかもしれません」
同じ交流重賞路線組でも、3歳時のGIIIフラワーCで難なく好位に付けたように、こちらはむしろ芝のほうが行き脚のつくタイプ。終始力みがちだった昨年も直線で一瞬伸びかけて0秒9差と、その内容は着順(10着)ほど悪くない。「千八の前走(TCK女王盃3着)でも折り合って運べたのが成長の証し。右手前が好きな馬で左回りが合うし距離もマイルがベスト。前走(58キロ)から3キロ減で良馬場なら」(高木師)。カフジテイク(2着)を完封した15年端午Sの再現が、あるのか。(美浦の宴会野郎・山村隆司)