1月12日浦和「ニューイヤーC」は、ナイトスクールが圧倒的な強さをみせた。1000m通過63秒4のスローを3番手でスムーズな折り合い。3コーナー手前、軽く仕掛けて先頭に立つと、直線はちぎる一方の独走だった。余裕残しの7馬身差。1600m1分42秒6、同日古馬B2が42秒3(シャンハイチキータ)だから時計的にも悪くない。今季素晴らしいレベルを誇るダーレージャパン・第2期生。中で少し立ち遅れた存在ともみえたが、今日の走りなら、一転堂々胸が張れる。
「テンションの上がる気性。初輸送、初コースをどうこなすか」とはレース前、坂本昇調教師。しかしこの日のパドックなど、リラックスして実にのびやか。半信半疑の評価を見事に覆している。終わってみれば、やはり良血ゆえの成長力か。前躯が発達したマイラー体型とはみえたが、父マキャベリアン、現実にドバイWC、2頭勝ち馬を送っている万能型の大種牡馬だ。
ニューイヤーC(サラ3歳 定量 南関東G3 1600m良)
◎(1)ナイトスクール (54・内田博) 1分42秒6
▲(2)ジルハー (54・今野) 7
△(3)モエレマジックオー (54・秋元) 首
○(4)ダイヤサンディ (54・的場文) 首
△(5)ビービープライド (54・酒井) 頭
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△(8)デヴァイドスカイ (54・桑島)
単360円 馬複1140円 馬単1780円
3連複4090円 3連単16590円
2着争いが激しかった。ナイトスクール目標、外めを強引にまくった1番人気ダイヤサンディ。しかしこれがあと1Fで甘くなり、インからジルハー、大外からモエレマジックオーが強襲した。前々でレースを進めたビービープライドまで含め、2〜5着はほぼ能力互角といえるだろう。今日の内容だけをとるなら、モエレマジックオーが最もインパクトの強い競馬をした。道営実績はダイヤサンディに一歩譲るが、比較的浅いキャリア8戦、転じた浦和ではすべて馬券にからんでいる。強靭な末脚は大井向きのムード。上山から移籍、初めて逸材にめぐり合った秋元騎手も含め、エールを送りたい材料はそろっている。
05年、南関東クラシックは面白そうだ。繰り返しになるが、今季ダーレー2期生のレベルがきわめて高く、たとえば「2歳優駿」2着・シーチャリオットが安閑としていられない事実がある。ブルーバードCを健闘(2着)したマズルブラスト。距離1000mに戸惑いながら、結局デビュー2連勝を果たしたブックオブケルズ。ナイトスクールも、今回重賞勝ちでその域に到達した。そして現に実績というなら、タイムライアンが当然より上位にランクされる。「ハイセイコー記念」の覇者大井トウケイファイヤーも、昨暮れにOP・1勝を上積み。船橋組と未対戦ながら印象度ではヒケをとらない。他にカイゼルハート、ボンネビルレコードあたりもかなりの素質馬。あとは川崎エスプリフェザント(放牧休養中)の復活だろうか。先日、羽田盃(5月11日)→東京ダービー(6月8日)→ジャパンダートダービー(7月13日)と日程が発表された。春よ来い…今年は例年にも増して思いがふくらむ。
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TCK女王盃(1月19日大井 サラ3歳以上牝馬 別定 1800m)
◎エンシェントヒル (54・福永)
○グラッブユアハート (55・安藤勝)
▲レマーズガール (57・武豊)
△アイチャンルック (54・山田信)
△プルザトリガー (54・内田博)
△オルレアン (54・藤田)
△ジーナフォンテン (56・張田)
ホウザングラマー (54・的場文)
前走クイーン賞制覇、交流重賞5勝としたレマーズガール。昨年このレースも、2番手から危なげなく抜け出す完勝だった。単に記録だけなら、ホクトベガはともかく、ファストフレンド級にすでに並んだ。あらゆる流れに対応する自在性、コンスタントに能力を出し切る逞しさ。ただし現実に牡馬に通用しない以上、女傑、名牝の言葉は正直まだまだそぐわない。昨今の牝馬低レベル。個人的にはあくまで偏差値的な強さと判断する。
エンシェントヒル。ダート7戦4勝の新星で、交流重賞初挑戦ながら、既成勢力を大きく凌ぐ可能性と個性を感じる。前々走京都・トパーズSなどそれこそ圧巻。4コーナー13番手から大外一気、一瞬目を疑うほどの豪快な逆転だった。デビュー2年目の生野騎手鞍上にこの芸当ができたこと。父エンドスウィープはとてつもない切れ味をその産駒に伝えること。福永祐一Jへの手替わりも、むろん全力投球のサインだろう。基本的にパワー優先、大井ダートも減点はない。
クイーン賞の感触からは対レマーズ、今回はグラッブユアハートに先着の目がある。コンビ結成から終始試行錯誤で乗ってきた安藤勝J。なるほどこれまで1勝5敗だが、直線勝負に割り切って徐々にその差は詰まってきた。大井2度目。馬券的な妙味はこちらとみたい。南関アイチャンルック、プルザトリガーは、この2頭をどう乗ったら負かせるか、鞍上の作戦と思い切りが焦点だろう。戦歴から少し壁はありそうだが、黒潮盃、アジュディミツオーを捕えた前者は、むしろ山田信Jで大駆けが浮かぶ。オルレアンはジリ脚のイメージが強く、大井適性があったとして連穴級か。それなら次走エンプレス杯を描き、ジーナフォンテンの走りに注目する。