サウンドトゥルー、ホワイトフーガ、ハルクンノテソーロ…有力ダート馬を手がける高木調教師を直撃!
「最後まで真面目に一生懸命走るので、そこが強みですね」
赤見:帝王賞に出走するサウンドトゥルーは、今回フェブラリーS以来の休み明けになりますが、今の状態はいかがですか?
高木:今日(6月25日)最終追い切りをやりましたけど、すごくいい状態だと思っています。去年はかしわ記念から帝王賞というローテーションでしたが、今年はフェブラリーを使ったので、かしわ記念はどうしようかなと思っていて。ずっと秋から冬にかけてがんばってきて、少し硬くなって来ていると感じていたし、また今年も秋からはすごいローテーションになるだろうから、ここでちょっとゆっくりという形を取りました。
赤見:長い間常に第一線でがんばってくれる馬ですね。
長い間第一線で活躍し続けているサウンドトゥルー((C)netkeiba)
高木:本当にすごい馬だと思います。あんまり体調の波が激しくないですし、こちらとしても扱いやすいですね。
赤見:性格的にはどんな馬なんですか?
高木:パッと見はおっとりしているように見えますけど、けっこう神経質なんですよ。ちょっとしたアクシデントがあったり、いつもと違うことがあると過剰反応するところがあって。意外と繊細なんです。そういうところがあるので、途中からメンコをしたり、こちらも気をつけてはいるんですけど。
赤見:パドックを見ていると、いつも大人しくゆったり歩いてるイメージでした。
高木:そうなんですよ。そう見えるんですけど意外と繊細で。この馬の兄弟もみんなそうでした。ただ競馬に行けば大丈夫なんですけどね。若い頃からずっと順調に来ていますし、最後まで真面目に一生懸命走るので、そこが強みですね。
赤見:課題を挙げるとしたら?
高木:もう少し追走が楽にできるといいんですけど。見ている方はヒヤヒヤものですよ(笑)。かといって、前半わさわさやっちゃうとリズムが違うって感じるらしく伸びないし…。交流戦だとある程度の位置には行きたいですよね。コーナー4つ5つある中で後方からっていうのはキツイですから。
赤見:今年の帝王賞はかなりのメンバーが集まりました。
高木:かなり濃いですよね。メンバーは強いですけど、GIなのでしっかり仕上げていますし、あとはできれば流れて欲しいなという気持ちです。
赤見:続いてはホワイトフーガのお話をお聞きします。マリーンC、さきたま杯を連勝!どちらも強いレースでした。
地方交流重賞を連勝したホワイトフーガ(撮影:高橋正和)
高木:そうですね。去年のさきたま杯はゲートで後手を踏んでちょっとガチャガチャになっちゃったんですけど、それさえなければもう少しやれたんじゃないかなと。それにしても今年は強かったですね。道中でけっこうハミを取っていくので1400〜1600m位がベストだと思います。
赤見:どんな性格の馬ですか?
高木:最初は繊細な女の子という感じでピリピリしたところもあったんですけど、割と今は落ち着いてきたかなと思います。ただやっぱり、さすがに58キロは顕著に出ますよね。最後の伸びが違います。去年の秋、前哨戦(レディスプレリュード2着)取りこぼして本番(JBCレディスクラシック)を勝てたっていうのもそこが大きいです。勝ってはいますけど、決して楽ではないと思っています。
赤見:去年58キロを背負って勝ったスパーキングレディーC。来週に迫りましたけれども、今の状態というのは?
高木:前走後も厩舎に置いて、いつも通りですけど、ちょっと暑いのがイマイチな馬なんでね、今のところなんとか辛抱してくれてますけど、最近の寒暖差というのは馬にとってもキツイですね。今日1週前追い切りをしましたけど、動きは良かったです。いつも通りの状態で出走できると思います。
赤見:去年から喉鳴りが気になるというお話ですけれども。
高木:正直それは気になりますね。鳴ってる時と鳴ってない時があるんですけど、天気っていうことではないみたいなんですよね。以前追い切りの時にモバイルを着けて状態を撮ったんですけど、獣医さんからしたら「厳しいだろう」っていうジャッジなんですよ。でもその後にJBCレディスクラシックを連覇してくれて。
これまでそういう症例がないみたいで、データをアメリカにも送ったんですけど、「この後にGI勝ってる?そんなことあり得ない」って言われてるんです。この前も、「もう一度撮らせてくれ」って言われて撮ったんですけど、やっぱり鳴ってて。それでも勝つじゃないですか。まったく影響がないということはないと思うんですけど。呼吸音はガラガラいってますし、100%気道を確保できていないわけで…どうなんでしょう70%くらいなんですかね。
まぁ、手術という手もあったんですけど、気道を塞いでいる弁を引っ張って縫い付けたり、その部分の軟骨を除去する手術があるんですけど、それをすると誤嚥(エサを食べた時に、間違って気管の方に食べものが流れる)の可能性も出て来るみたいで。繁殖としての価値もある馬ですし、繁殖に上がってからも誤嚥で体を壊してしまう馬もいるので、そこは慎重に考えました。手術をしても100%治るというわけではないですし、それならこのままいきましょうということで今に至ります。
赤見:先日のユニコーンSではハルクンノテソーロが2着でした。今後はJDDですか?
ユニコーンSで2着だったハルクンノテソーロ(写真は2017年4月30日・500万下優勝時、撮影:下野雄規)
高木:そこはねぇ、距離がちょっと長いですよね。オーナーとも相談して、別の選択肢でいく予定です。
赤見:さらに6月24日、ルールソヴァールが夏至Sを勝ちました。もちろん芝でがんばっている馬も多いですが、ダート馬のラインナップがすごいですね。
高木:そうですね。なんだかすごく揃って来ましたね。オーナーからも素晴らしいダート血統を預けていただいているので、そういう馬たちががんばってくれて、自然とそうなりました。ダートは交流戦もありますし、地方のいろいろなところに行ったり、コース形態とかいろいろ勉強になって楽しいです。
夏至Sを快勝したルールソヴァール(撮影:下野雄規)
赤見:では最後に、今後の目標をお願いします。
高木:サウンドトゥルーは目の前の帝王賞を全力で戦って、秋にはまたGI戦線で大きいところを狙います。ホワイトフーガは秋のJBCレディスクラシック3連覇が掛かりますが、今年は大井の1800mなんですよね。ちょっと距離的にどうだろうと感じるので、そこはいろいろな選択肢を考え中です。まずはスパーキングレディーCに向けてがんばりますので、応援よろしくお願いします。