スマートフォン版へ

復活劇の明暗

  • 2005年02月28日(月) 14時38分
 2月23日、船橋・報知グランプリCは、鮮やかな“復活劇”が演じられた。ただし、その主役は、4歳牡馬ベルモントストームではなく、7歳牝馬ジーナフォンテン。船橋に再転入して4戦目。久々にこの馬らしい瞬発力と勝負根性をアピールした。

 当日ベルモントアクター、ヤマニンデュークが取り消し、競走除外で12頭立て。真ん中からベルモントソレイユが好ダッシュ、難なく主導権を取り切った。掛かり気味にサクラハーン、その外をベルモントストーム。1000m通過61.3秒はむろん先行馬ペースだが、中団ジーナフォンテンが3〜4コーナー、馬混みを割って早めに動く。ここ数戦見られなかった抜群の手応え。鞍上は直線インに進路をとる余裕があった。ラチ沿いが締まった馬場で、今開催はこのコースが最も伸びる。一瞬のうちに2馬身ほども抜け出し、おつりを残したゴールイン。「馬体が絞れて(17キロ減)反応が違う。やっと昔のジーナに戻ってくれた」(張田騎手)。1800m1分52秒4、同日JRA交流(500万=B2)が55.4秒だから、他馬の凡走では決してない。

 ジーナフォンテンは、一昨年G2エンプレス杯以来およそ2年振りの勝利。記者自身の予想をいえば、再転入3戦、何やらふっ斬れない印象が強く、そこで見限ってしまったのが失敗だった。何度か書いたことだが、競馬には「もう(限界)はまだ(健在)…」、という格言、セオリーがはるか昔から存在する。クイーン賞、エンプレス杯と◎でプッシュしただけに、なおさら痛恨。ともあれ今日の内容だけをとるなら、彼女はまだまだ牝馬統一G路線でチャンスがある。ベストタイアップ×パークリージェント。上山出身。地味な背景は逆に自身の逞しさ、意外性ともいえるだろう。ダイオライト記念(船橋)、あるいはマイルグランプリ(大井)を挟み、6月地元マリーンC(牝馬G3・1600m)が最大のターゲット。改めてレマーズガール、グラッブユアハートの牙城を崩してほしい。

報知グランプリC(サラ4歳上 別定 南関東G3 1800m梢重)

△(1)ジーナフォンテン (55・張田) 1分52秒4
○(2)ベルモントソレイユ (56・早田) 3
△(3)ゴシップコラム   (52・内田博)  1.1/2
▲(4)イシノファミリー  (56・金子) 3/4
△(5)サクラハーン  (54・山田信) 3/4
……………
◎(6)ベルモントストーム (54・石崎隆)
△(7)ウエノマルクン (56・鷹見)

単1230円 馬複4440円 馬単6650円 
3連複10620円 3連単54750円

 明暗を分けたベルモントストーム。正直デビュー以来最もふがいない敗戦だった。3番手待機策は納得として、3〜4コーナー、上がっていったジーナフォンテンについていけない。ちょうど1年前の京浜杯ではあれだけの瞬発力をみせた馬だ。「現時点で力不足というしかない。道中の反応なんかはいいんだけどね…」(石崎隆騎手)。負け知らずの地元船橋、絶好と思えた距離1800m、ロスなく乗れる1番枠。条件はすべて順風だっただけに弁護の言葉に詰まってしまう。成長力の問題か、あるいは精神面のスランプか。2月19日、同厩舎、全弟の3歳ベルモントギルダーが、JRA・3歳500万下(1400mダート)挑戦、3着と健闘した。いずれにせよ、兄自身はしばらく手探りの戦いになるだろう。

 ベルモントソレイユはマイペースの逃げにしても最後までしぶとかった。本質的に短〜マイル向きだが、タフに使われ、さまざま経験を積んだことで、地力そのものが以前とは大きく違う。ゴシップコラムはスタート直後挟まれ後方から。直線ジーナが抜けたインをじわじわ伸びたが、得意のマイル戦ほどは斬れ味がない。イシノファミリーは鞍上らしい徹底した待機策で、それなりの個性はみせた。いい脚一瞬、線の細さが根本的にネックだろう。ウエノマルクンも不慣れな左回りを意識したか、慎重に乗られる競馬。上がりの速い展開ではやはり届く道理がない。サクラハーンは鞍上新コンビが興味だったが、道中終始かかっていた。JRA・3勝、川島厩舎。人気先行の嫌いは否めない。

       ☆       ☆       ☆

しらさぎ賞(3月2日 浦和 サラ3歳別定 南関東G3 1600m)

◎ナイトスクール (55・内田博)
○マズルブラスト  (55・今野)
▲エアムートン    (54・張田)
△ジルハー      (55・金子)
△ワタリファイター (54・左海)
△ビービープライド (54・佐藤隆)
 セブンチャンピオン (53・石崎隆)

 川島正行厩舎は、いうところの“持てる悩み”。リーダー格がはっきりしたシーチャリオットを京浜杯(23日大井=1700m)に据え、ここは副将格のマズルブラストで臨んできた。同馬はデビュー2連勝、ブルーバードC、雲取賞と2、2着。とりわけ雲取賞は初コースの大井を4コーナー先頭の正攻法。1600m1分40秒6の時計も含め、例年レベルならクラシック最有力と呼べる能力を示している。

 ただしここはあえてナイトスクールのスピードを上位にとった。こちらは坂本昇厩舎所属、ダーレー2期生。前走ニューイヤーC、今回と同条件の浦和1600mを7馬身差で圧勝し、いよいよ軌道に乗っている。3コーナー手前、鞍上のGOサインに待ってましたとばかり鋭く反応。父マキャベリアン、重心が低く胴の詰まった体型からも典型的なマイラーとイメージできる。先々はともかく、今回に限ると個性に合わせたレース選択。徹底先行で重賞を連覇とみた。

 順当ならマズルブラストと一騎打ち。JRA挑戦の経験が生きればエアムートンの斬れ味で、こちらも軽い馬場、小回りがおそらく性に合うだろう。以下、混戦になった際のジルハー、ワタリファイター。絞って3連単を当てにいきたいレースではある。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング