武藤雅騎手のインタビューも最終回。今回は現在の課題や一番の武器、そして今後の夢について語っていただきました
所属している水野厩舎の管理馬に騎乗することが多い勝浦正樹騎手を目標としている武藤騎手。その勝浦騎手からたくさんのことを学び日々成長している中、一番大事にしていることと、自分自身で感じている現在の課題とは? 最後には“父”武藤善則師と親子で繋ぐ大きな夢について語ってくれました。
(取材・文/森カオル)
一番大事にしているのは、最後まであきらめずに追うこと
──最後に目標や野望など、これからのことを。目標とするジョッキーは、勝浦正樹騎手だそうですね。
武藤 はい。勝浦先輩は、馬とコンタクトを取るのがすごく上手で、馬に嫌気を出させない。僕が目指している乗り方なので、本当に勉強になります。あと、昨年はフェアプレー賞を受賞されて(97年のデビュー以来、通算9回目の受賞)、そういう面も尊敬していますし、学ぶべきところだと思っています。
──勝浦騎手は、水野厩舎の管理馬に数多く乗ってらっしゃいますから、学ぶべき存在が近くにいるというのは大きいですね。普段からよくお話しされたりするんですか? 食事に連れて行ってもらったり?
武藤 勝浦先輩に限らず、先輩と食事に行ったりする機会はまだあまりありませんが、勝浦先輩には普段からいろいろアドバイスをいただいていますし、本当にお世話になっています。ジョッキーとしては“職人”であり、普段はすごくユーモアがあって、お話ししていて面白い。ジョッキーとしても人としても、勝浦先輩にはたくさんのことを学ばせてもらっています。
──続いては武藤騎手ご自身について。今現在、“武器”としているものはなんですか?
武藤 一番大事にしているのは、最後まであきらめずに追うことです。そこは他の誰にも負けないというか、すべてのレースで最後まであきらめずに追っている自信はあります。やっぱり気持ちが一番大事だと思いますし、そこは馬にも絶対に通じる部分だと思っているので、これからもその気持ちを一番大切にしていきたいです。
──では、一番の課題として取り組んでいることは?
武藤 課題は…、たくさんありすぎてわからないんですけど(苦笑)、そうですね、道中もっとうまく折り合いをつけることとか…。あと、制裁が少し多いので、もっと周りを見て、減らしていきたいなと思っています。
──デビュー時の資料によると、今年の夢は新人賞。
武藤 はい! できるだけ多くの数を勝って、新人賞を獲りたいです。
──ということは、同期の勝ち星も気になりますね。
武藤 気にならないと言ったら嘘になりますね。意識はしていますが、それより今は、自分に集中しているというか。たくさん乗せていただいているなかで、1頭1頭大事に乗る気持ちを忘れずに、ひとつでも上の着順を目指したいです。
──5年後、10年後のビジョン、将来的な野望を教えてください。
武藤 そこまで先のビジョンとなると、ちょっとまだわかりませんが…。今、一番近い目標は、GIに乗る条件である30勝をクリアすることですね。
──お父さまの武藤善則師も、雅騎手についてのインタビューなどで「自分がジョッキーのときに果たせなかった夢があるからね…」と、感慨深く語ってらっしゃいましたものね。やはりGIは、親子で繋ぐ大きな夢。
武藤 そうですね。父と直接、そういう話はしませんが、父の気持ちはわかっているつもりなので、何とか期待に応えたいですね。僕の一番の夢というか、最大の目標は、あの大観衆のなかでダービーを勝つこと。とにかく「ダービージョッキーになりたい!」という気持ちが一番強いです。そのためには、そこに向かえるようなジョッキーにならないと…。技術を磨くことはもちろんですが、人としても周りの方に応援していただけるジョッキーになりたいです。
「ダービージョッキーになりたい!」という気持ちが一番強いです
(了)