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ブルーローレンスの変身

  • 2005年03月14日(月) 16時32分
 3月9日大井「東京シティ盃」は、ブルーローレンスの鮮やかな差し切りだった。ハタノアドニス、エビスファイターの先行で、3F35秒5〜4F47秒5。短距離にしては意外なほど緩い流れだったが、同馬は後方から2頭目の位置で徹底して脚をタメる。結果的にそれが良かった。4コーナー、最インを回ってじわりと差を詰め、あと1ハロンで馬群をこじ開けるようにエンジン全開。「弾ける」とは、こういうシーンをいうのだろう。上がり36秒4(推定)。先に抜け出したトミケンマイルズ、カセギガシラを、それこそ一瞬のうちに斬って捨てた。

東京シティ盃(サラ4歳上 別定 南関東G3 1400m良)

△(1)ブルーローレンス  (56・的場文) 1分25秒4
▲(2)トミケンマイルズ  (58・張田) 1
△(3)カセギガシラ    (58・内田博) 1
 (4)ナイキゲルマン   (58・石崎隆) 首
△(5)ハタノアドニス   (58・酒井) 1/2
……………………
◎(8)ベルモントソレイユ (58・早田)
○(10)クールアイバー  (58・石崎駿)

 単880円 馬複1180円 馬単2810円
 3連複2560円 3連単15680円

 ブルーローレンスは今回が大井3戦目。過去2戦、東京ダービー、黒潮盃を16、10着と大敗で右回りの不安も囁かれたが、今日の結果からは杞憂だった。当時より心身ともパワーが違う。「顔触れを見て差す競馬をイメージした。終始折り合いがついて手応え十分。それでも勝つまでとはね…。正直今日はうれしい誤算」(的場文騎手)。1400mで1分25秒4、昨年ブラウンシャトレーが1分24秒6だから数字的には物足りないが、同馬自身、新境地をみせたという点で中身が濃い。昨夏、地元川崎の2000m・クラウンカップ勝ちもあり、父シャンハイながら距離は万能に近いだろう。同騎手とのコンビで12戦11勝。相性の良さも大きいか。次走は4月「マイルグランプリ」。よーいドン、上がりの競馬、瞬発力勝負に強いことははっきりした。

 トミケンマイルズは直線中ほどでいったん先頭。久々のぶん詰めを欠いたという2着だった。ササ針明けで13キロ減だが細くは見えず、本質的に夏型で暖かくなって調子を上げる。マイルGPへ好発進。ただ馬のスケールはひと息でこじんまり。統一Gとなると現時点でパンチ不足か。カセギガシラも同様で、3番手から絶妙な追い出し、勢いに乗る内田博騎手が完璧な競馬をさせた。通用は南関G2〜G3の1400mまで。逆に言うと今日チャンスを逃したのは痛恨でもある。ナイキゲルマンは相変わらずふっ切れないレースぶり。ハタノアドニスもこのペースで失速しては、やはり9歳の年齢が気になってくる。期待したベルモントソレイユはダッシュひと息で中団から。元より差す脚はないだけに、不完全燃焼というしかない。この後高知「黒船賞」を視野に。クールアイバーは後方のまま末脚不発。本来短距離馬でもなく、結果が出て見ると何やらピント外れの予想だった。ジェネスアリダーも追走一杯。こちらは連闘でダイオライト記念に向かうが、相手関係などなおさら厳しくなっている。

        ☆        ☆        ☆

ダイオライト記念(3月16日船橋 サラ4歳上 別定 統一G2 2400m)

◎タイムパラドックス (56・武豊)
○モエレトレジャー  (55・金子)
▲ヒシアトラス    (56・横山典)
△パーソナルラッシュ (55・安藤勝)
△サクラハーン    (56・山田信)
△ジェネスアリダー  (56・桑島)

 地方側の陣容が何とも寂しい。まあしかしアジュディミツオー不在、同世代のライバル・ベルモントストーム以下がふっ切れない状況ではこれが現実というしかない。とりわけ中〜長距離をこなすパワーの実力馬が不足している。昨年ミツアキタービンの役を果たすとすれば、岩手ウツミジョーダン(川崎記念3着)だったが、2月にいったん船橋入厩、しかし脚部不安が判明して回避した。JRA勢との力勝負は、粒ぞろいのダーレー2期生が本格化する来春あたりまでおあずけということか。残念ながら大勢は「軒を貸す」G2である。

 タイムパラドックスには取りこぼせないレースだろう。JCダート(2100m)を筆頭にタイトル4つ。ブリーダーズGC(2300m)、白山大賞典(2100m)、川崎記念(2100m)、現在ダート中〜長距離界では絶対の位置に昇っている。舞台さえ整えば、全盛時のアドマイヤドンにも遜色ない決め手とパワー。前々走川崎記念は1コーナーで弾かれるなど、武豊騎手らしくない競馬をしたが、それでいて成長株シーキングザダイヤを貫禄で抑えている。こと馬券でいえば、今度こそ相手を絞って当てに行きたい。

 モエレトレジャーは、多分に地方びいきの気持ちが入る。ただ同馬は昨年暮れのG2・浦和記念を圧勝、当時カイトヒルウインドを4馬身ちぎった。そのカイトヒルウインドは、10月エニフS(京都1800m)でヒシアトラスに快勝。いうところの三段論法からは、ここで好勝負して不思議ない。鞍上・金子騎手の思い切りひとつだろう。徹底先行、とにかく完全燃焼の競馬が見たい。ヒシアトラスはフェブラリー3着の記録通り充実一途。好調・横山典が、武豊相手にどんな秘策で臨んでくるか。パーソナルラッシュはリズムが悪い分4番手。昨秋ダービーGPはむろん驚異のレコードで、ここが文字通り正念場だ。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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