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「すごくいい切れ味!」この秋に期待してやまない2歳馬の名は?

  • 2017年09月25日(月) 18時01分
ギャロップ翼

▲秋はこの馬に注目!笹川騎手が期待する2歳馬の名は?(撮影:高橋正和)


今週も聞きたいコト盛りだくさん!エイシンバッケンの大井移籍のトピックから、地方転厩初戦の馬に騎乗する際の心掛けについて、そして海外志向の笹川騎手が「一緒に乗っていて、すごく刺激を受けている」というR・クアトロ騎手との交流に、この秋に期待する2歳馬の話題などなど…今回も若手のホープが赤裸々に語ります!(取材・文:赤見千尋)

このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。笹川翼騎手へ「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。【⇒質問フォームへ】


秋の期待馬に「課題より伸びしろがいっぱい」


――石川裕紀人騎手との対談で、印象的なレースとして名前を挙げていたエイシンバッケンが、大井の荒山厩舎に移籍しました(※取材日は9月16日)。ご存知でしたか?

笹川 はい、何かのニュースで見ました。荒山厩舎は小林(牧場・千葉県印西市)にあるので調教している姿は見かけていないですけど、あれだけの馬なので今後が楽しみですよね。オープン(欅ステークス)を勝って移籍ですもんね。

――笹川騎手はJRAから移籍して来た馬の初戦で、気をつけていることはありますか?

笹川 JRAの馬はコースに入るとキャンターで走っていく馬が多いので、馬場入場から返し馬は注意しています。あとゲートもJRAのゲートと南関東のゲートが違うので、自分が調教していれば1度はゲートを見せるようにはしていますね。JRAのゲートよりも南関東のゲートの方が、中が少し広いんですよ。だから中で動いてしまうんです。その辺りは馬が戸惑わないように気を付けてますね。

ギャロップ翼

▲2月の金盃(SII)で地方転厩初戦のオリオンザジャパンに騎乗する笹川騎手(ユーザー提供:りなさん)


――例えばエイシンバッケンだったら、ものすごい直線勝負じゃないですか。ただ、地方に来るとコースがまったく違うわけで、その辺りで意識することはありますか?

笹川 もちろん馬によるところが大きいですけど、あまり決めつけ過ぎないように意識しています。これまでが直線一気だったからといって、過度な決めつけは良くないので。攻め馬とか環境も全然違いますし、馬自身の調子もありますし。過去に実績があるからといって、必ずしも走るという世界じゃないですからね。これまでのレースはもちろん見ますけど、参考にするというくらいのスタンスでいます。

――現在南関東では、ライアン・クアトロ騎手が短期免許を取得して参戦しています。一緒に騎乗してみていかがですか?

笹川 やっぱり上手ですね。馬をしっかり御してくるし、姿勢は綺麗ですし。けっこう気さくな感じで話しかけてくれるんですよ。僕は英語しゃべれないですけど、なんとかコミュニケーションも取れている感じです。

ギャロップ翼

▲藤田輝信厩舎(大井)の所属騎手として期間限定騎乗中のライアン・クアトロ騎手


――どんなことを話すんですか?

笹川 会うたびに「元気?」みたいな感じで。ノリがいい方なんですよ。今、日本語を教えているんです。

――どんな日本語を教えたんですか?

笹川 例えば……、「渋い」とか。

―― ……競馬関係なくないですか?

笹川 そうですね(笑)。“お金を出すのが渋い”とかの意味で教えました。これからちゃんとした言葉もお伝えします。

――お願いします(笑)。クアトロ騎手のレースを見ていると、すごく積極的に騎乗されますよね。

笹川 これまで後ろから行っていた馬でもポンと前に行ったり、ゲートを出すのが上手ですよね。ヨーロッパの方ですけど、アメリカでも乗って来たみたいです。だからなのか、ヨーロッパ的な乗り方というか、折り合いをつけて溜めて最後に伸ばす、というよりも、積極的に動いて行く感じですね。一緒に乗っていて、すごく刺激を受けています。

――御神本訓史騎手も復帰して、ライアン・クアトロ騎手も来日して。存在感のある方が一気に2人も増えましたね。

笹川 そうですね。もうすぐ(ケガで休養中の)森泰斗さんも戻って来るし(※9/25より復帰)、南関東は本当に層が厚いですよね。その中で埋もれないように、もっともっと頑張ります。

――最近期待している馬はいますか?

笹川 2歳のレオハイスピード(牡、船橋・岡林光浩厩舎)ですね。デビューから乗せていただいているんですけど、3着→2着→2着とあと一歩勝てなかったんです。でも前走は初めての大井で特別戦を勝ってくれました(9/14・大井9Rひよどり特別)。中団後方の位置取りから、道中は少しおっつけ気味でしたけど、4コーナーを回って直線で外に出したらよく伸びてくれました。すごくいい切れ味を持っている馬なので、今後さらに楽しみです。

ギャロップ翼

▲ここまでの全4戦で手綱を握るレオハイスピード(ユーザー提供:東京ダ1700さん)


――現状課題をあげるとしたらどんなところでしょうか?

笹川 まだキャリア4戦ですし、課題というより今後の伸びしろがいっぱいあって楽しみという気持ちの方が大きいです。前走は437kgで、小さい割に根性があって、頑張って走ってくれるんですよ。肉体的にも精神的にもこれからどんどん成長してくれると思います。具体的なことを言えば、少し入れ込みやすいところがあるので、気持ちがもう少しゆったりと持てるようになって、道中もっとリラックスして走れるといいですね。必ず一足は使ってくれる馬なので、その良さを活かす競馬をしていきたいです。次は船橋の平和賞(10/25)と聞いているので、重賞でどんなレースができるか楽しみです。

――レオハイスピードはデビューからコンビを組んでいますし、こういう若馬と一緒に重賞にチャレンジできるというのは貴重な経験ですね。

笹川 本当にそうですね。今年クラシック戦線を戦ったミサイルマンもそうですし、去年のグランユニヴェールもそうですし、成長過程でずっとコンビを組ませていただけるというのは、とても貴重な経験です。乗せていただいている関係者の方々や、頑張ってくれている馬、そして応援してくれるファンの皆さんの期待に応えられるよう、自分も馬と一緒に成長していけるように頑張ります!

1994年7月17日生、新潟県出身。2013年4月7日に米田英世厩舎(大井)からデビューすると初年度から43勝を挙げ、NARグランプリ優秀新人騎手賞を獲得。重賞勝利に勝島王冠(15年)、船橋記念(16年)、ハイセイコー記念(16年)。

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