4月6日、大井「マイルグランプリ」。ナイキアディライトが別格の強さで勝った。出馬確定時は逃げ争いがやや微妙と思えたが、気になるベルモントソレイユが出走を取り消し、唯一の同型エビスファイターもスタートで失敗した。アディライトは唸るような加速力。持ったままで1コーナー、すでに2馬身ほどもリードを取り、そのまま快調に飛ばしていく。1000m通過60秒3、平均に速いラップを踏み、それでいて終いまったく乱れない。ラスト3F、12.8-12.3-12.4と完璧なフィニッシュ。1600m、1分37秒8はレコードにコンマ3秒、同レース史上、アローセプテンバー(01年)に次ぐNo.2。最後は後続に4馬身差。まさしく「逃げる精密機械」の言葉が似合った。
マイルグランプリ(サラ4歳以上 定量 南関東G1 1600m良)
▲(1)ナイキアディライト (57・石崎駿) 1分37秒8
(2)プルザトリガー (55・内田博) 4
◎(3)トミケンマイルズ (57・張田) 鼻
△(4)ジーナフォンテン (55・佐藤隆) 鼻
(5)ジェネスアリダー (57・桑島) 3
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○(6)ブルーローレンス (57・左海)
△(7)カセギガシラ (57・酒井)
△(11)ナイキゲルマン (57・山田信)
単330円 馬複3320円 馬単4810円
3連複2230円 3連単17240円
「この上がり(37.5秒)ですからね。後ろはついてこれないでしょう。自信が持てました。この後は予定通り、かしわ記念、帝王賞」(出川龍一調教師)。そのかしわ記念は今年からG1昇格。アドマイヤドン、タイムパラドックス、ユートピア…、昨年以上の顔触れが予測されるが、アディライト自身、連覇へ十分な充電が完了した。ストレートで正統派の逃げ馬。距離は2000mまで問題なく、何よりハナを切れるかどうか、常に1コーナーまでが勝負になる。デビュー4年目で重賞初制覇を飾った石崎駿騎手。今回、父・隆之騎手が負傷欠場中で手綱が回った。「馬が競馬を知っているから、僕はただ乗っていただけ。4馬身差?ただ最後はやっぱり必死でした」
現在南関東リーディング第10位。このコンビが1度の代打で終わるのかどうか。いずれにせよデビュー当初、はるかな目標であった父、それが今はライバルになろうとしている。
激しい2着争いは、アディライトを終始マークして進んだトミケンマイルズがあと1Fで脚があがり、プルザトリガー、ジーナフォンテンが鋭く迫った。プルザトリガーの最後のひと押し。結果的には内田博Jの腕とガッツが大きいだろう。ともあれこの牝馬2頭の充実は想像以上に素晴らしい。6月1日「マリーンC、船橋1800m」は、レマーズガール、グラッブユアハートの壁に、今度こそ…の期待が持てた。トミケンマイルズも、自身1600m・1分38秒6だから、持ちタイム通り走っている。統一Gレベルにはもう一段パワーアップが必要ということか。ブルーローレンスは中団で追走いっぱい。カセギガシラ、ナイキゲルマンもスピード負け。終わってみれば東京シティ盃と今回のマイルグランプリははっきり別物。大きく水準が違っていた。
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桜花賞(4月13日浦和 サラ3歳牝馬 定量 南関東G1 1600m)
◎セブンチャンピオン (54・佐藤隆)
○ヨウヨウ (54・内田博)
▲アウスレーゼ (54・張田)
△テンセイフジ (54・石崎駿)
△スコーピオンリジイ (54・左海)
△クリストサファイア (54・今野)
インフレッタ (54・甲斐)
ミライ (54・金子)
ピースオブラヴ (54・石崎隆)
傑出馬不在。馬場状態(水曜日まで雨予報)、展開なども考え合わせ、どうにも予想が難しい。ただし、セブンチャンピオンの◎は少し前から決めていた。昨年暮れ、東京2歳優駿牝馬2着の末脚に惚れたこと。前走、牡馬相手のしらさぎ賞でいい経験を積んだこと。黒鹿毛の精悍な好馬体、ローゼンカバリー×カブラヤオーの血統背景にも、本番で大仕事の予感がある。インフレッタ、ピースオブラヴの逃げ争いをヨウヨウがまくって出ればハイペース。追って達者な佐藤隆騎手ならテン乗りも問題ないか。その優駿牝馬が雪上がり。道悪は案外うまい。
ヨウヨウは、トライアルのユングフラウ賞をひとまくりで圧勝した。最後手綱をセーブして3馬身差。ただ優駿牝馬でみせたスタート難は解消されず、コーナー4度の忙しい競馬にも微妙さを残す。逆に器用さで上回るアウスレーゼ、石崎駿騎手で新しい面が出そうなテンセイフジ。さらに実績は見劣らないスコーピオンリジイ、シンデレラジョウ。昨年3連単、57万円台。浦和桜花賞は元より、波乱が伝統でもある。記者個人としてはセブンチャンピオンから手広くいきたい。