今回はフィナーレ企画として、最後の忘年会を実施。これまでの思いの丈をぶつけ合います!
2011年9月にスタートした『キシュトーーク!』。それから丸6年が経ち、デビュー間もなかったレギュラー陣も若手から中堅の域へとさしかかりました。若手騎手の応援を命題に掲げてきた当コラムは、年末をもって終了させていただくこととなりました。長い間ご愛読いただき、本当にありがとうございました。そこで今回はフィナーレ企画として、最後の忘年会を実施。これまでの思いの丈をぶつけ合います!(取材・文:不破由妃子)
※高倉騎手は都合により欠席のため、後日個別取材をいたします。
最初は僕たちでアクセス数が稼げるのか心配だった
──川須騎手、高倉騎手が2年目、松山騎手、優作騎手、恭介騎手が3年目の9月からスタートしたこの『キシュトーーク!』ですが、今回でいよいよ最終回を迎えることになりました。
恭介 丸6年かぁ。アッという間だったなぁ。
松山 いろいろあったけど、過ぎてみれば本当にアッという間。
川須 最初はまだ全員が独身寮に住んでいる時期で、何もわからないままワイワイやってる感じでしたよね。それがいまやみんな結婚して、僕以外はパパですもんねぇ。
優作 若手だったからか、連載が始まるという気負いはなかったけど、僕たちでアクセス数が稼げるのかっていう心配はあったな。今なんか、同じ“心配”でも痛風の心配をしてるからね(苦笑)。あの頃は、そんなこと考えもしなかったのに。
恭介 今月末(12月27日)には27歳になるからね。立派なアラサーだよ。
──この6年で、大人になったなぁと思うことはありますか?
優作 あります。ちょっと毛深くなった。
恭介 お前の“毛事情”なんて、誰も興味ないわ(苦笑)。
川須 僕は仕事に対して、よりいろいろなことを考えられるようになりましたね。
優作 引き出しが増えたっていうことだろうね。“がむしゃら”の時期を経て、客観的に競馬を見られるようになったというか。そういえば最近、川須は競馬のことをよく聞いてくるもんなぁ。以前は聞いてきたとしても、正直、何を言ってるのかわからなかったけど(笑)、今はなんていうか、ちゃんと考えてるんだなって。すごくいいことだよね。僕がわかるくらいだから、そういう川須の変化はみんなわかっていると思う。
松山 うん、川須は前より落ち着いたよね。僕も競馬に対しても私生活のことについても、考え方自体が変わった。僕はもともとすごく頑固で。まぁ今でも頑固は頑固なんだけど、ときには折れることも必要だなって思えるようになった。そういう根本的なところでちょっと大人になったかな。
松山「根本的なところでちょっと大人になったかな」
川須 逆に質問したいんですけど、長年取材をしてくださっている方から見て、頑固さで順位を付けるとしたら誰が一番ですか?
──ん〜、やっぱり松山騎手かな。最初から「こうと決めたら絶対に曲げない!」みたいな強さは感じていました。
優作 恭介も大概頑固だけどね。
松山 うん、2位は絶対に恭介やろ。
川須 僕と優作ちゃんは最下位争いですね〜。
──高倉騎手も、あんまり頑固なイメージはないような…。
優作 いやいや、あいつも頑固ですよ。頑固というかね、いまだに少年というか…。いい意味で。
川須 高倉の変化といえば、結婚したことで明るくなりましたよ。そう思いません?
松山 もともと明るかったやん。まぁ、ちょっと暗いかなぁっていう時期もあったけど。高倉だけじゃなく、こういう仕事をしていれば、みんなテンションに波があって普通だと思うけど。
──そういえば、春ごろに高倉騎手と話したとき、逆に「最近、川須が暗いんですよ」って心配していましたよ。
松山 あ、暗い、暗い。っていうか、さっきも言ったように、川須は落ち着いたよね。
川須 僕もいろいろあるんスよ…(笑)。
恭介 川須は今、いっぱいいろんなことを考えてるもんね。川須にとって、今が人生で一番頭を使っている時期だと思うわ。
──高倉くんいわく、「アノ川須が本を読んでるんですよ」って(笑)。
川須 僕だって本くらい読みますよ!!!!!
松山 恭介はいい意味で一番変わってないかも。もともと大人だったもんね。
恭介 大人ではないよ、捻くれてるだけで(苦笑)。でも、ちょっと人生が楽しくなってきたかな。
松山 そう言うってことは、これまでの人生は楽しくなかったの?
恭介 ん〜、ちょっと落ち込む時期があったから。でも、だいぶ楽しくなってきた。競馬も毎週毎週のリズムが整ってきたというか。
川須 一時期、「トレーニングをやりすぎて、週末に疲れが残ってしまう」とか言ってましたものね。
恭介 やり方やタイミングなど、自分の体の調整方法がわかってきたぶん、週末が楽になったし、素直に競馬が楽しみだなと思えるようになった。なにしろ、一昨年くらいまで身長が伸びていたから、感覚を合わせていくのが難しかった…。
川須 マジすか!?
松山 一番大人になってないのは恭介やった(笑)。俺、もしかして恭介に(身長)抜かれたかな? 今、167cmちょっとだけど…。
恭介 いや、松ちゃんのほうが高いよ。俺は今、166.6cmだもん。
優作 俺、168cmちょっとあるよ。
松山 いつの間にか優作に抜かれてるやん!
優作 今年の健康診断でもちょっと伸びてた。最近よく関係者に「お前、背が高いんだな」って言われるわ。
──国分兄弟、すごいですね! 27歳にして、いまだ成長中という…。
優作 競馬学校に入ったとき、150cmでしたからね。そこからどんどん伸びて、気付いたら減量がキツくなってました。
恭介 たしか、デビューしたときが160cm。体のパーツが少しでも変わると、やっぱりちょっとした感覚が変わってくるから、今と昔では感覚が違い過ぎて…。ずっとその悩みはありましたね。
松山 1cm1キロっていうからね。7cm近く身長が伸びれば、そりゃあ同じ感覚では乗れないよね。
恭介 競馬の重量は決まっているのに、体だけがどんどん変わっていったわけで。その微調整が本当に難しかった。でも、ここ2年くらいかな、体の成長が止まったことで毎週のリズムが定まってきて、ようやくシックリくるようになった。まだまだ決していい成績とはいえないけど、一時期に比べたら抜け出せた感じはあるね。
──この流れで思い出しましたが、『キシュトーーク!』が始まった当時、優作騎手に「恭介騎手に絶対に負けないと思うところは?」という質問をしたら「身長」という答えが返ってきて、恭介騎手に同じ質問をしたら…。
恭介 答えはたしか「真面目なところ」ですよね。優作のように、突き抜けてバカにはなれません(笑)。
優作 でも、誰も俺のバカに付いてきてくれないから、ひとりで“徘徊”しちゃうんだよねぇ。
松山 突っ込んであげたいんだけど…、頭が回らない(苦笑)。でも、優作はすごく変わったよね。最初の頃は、もっと恭介に近かったのに。まぁわざとアホっぽくしているだけで、根はものすごく真面目なのはわかっているけど。
川須 わかります! たまにめっちゃ怖い目をしてますからね(笑)。それと、何となくですけど、恭介先輩より優作ちゃんのほうが負けず嫌いなのはわかります。
優作 だってさ、デビューした当時は、「恭介はあんなに頑張っているのに、お前はなんで頑張らないんだ」って毎日毎日言われてさ。頑張りたくても肝心の競馬に乗っていなかったから、頑張りようがなかった時期もあって…。
恭介 俺が優作に負けないところとして「真面目なところ」と答えたのは、それ以外に答えようがなかったからだよ。子供の頃からそうだけど、勉強にしても運動にしても、優作には絶対に敵わないからね。
──“毛事情”以外で(笑)、優作騎手がご自分で感じる変化はありますか?
優作 去年、今年とケガが続いたので、外から競馬を見ることが多かったんですけど、改めて“みんな巧いなぁ”と思って。最初の何週間かはイライラがあって、「俺のほうが巧く乗れるのに!」とか思ってたんですけど、途中からはそれぞれの優れた点がよく見えるようになりました。
恭介 たしかに前より競馬をよく見るようになったよね。最近は「あのレースはこうだった」とか、昔なら出てこなかったような言葉がちょいちょい優作の口から出てくるし。
優作 うん。自分の感情を抜きに、人のいいところを客観的に見つけられるようになったっていうのかな。あと、当然なのかもしれないけど、先輩ジョッキーとの距離が近くなった。競馬も対等の立場で乗れるし、普段も気を遣いすぎることなく、いい距離感になってきた気がする。そんな感じで、この6年のあいだに着々と“若手”から脱出しつつあるよね。
優作「この6年のあいだに着々と“若手”から脱出しつつあるよね」